産業医義務化の背景

産業医義務化の背景

昨今、企業を取り巻く労働環境は大きく変化し、過大なストレスとともに健康障害を患う労働者が急増しています。同時に、増加を続ける過労死や過労自殺といった問題が訴訟対象になることも珍しくありません。

企業(事業者)や管理監督者、人事・労務担当者は、労働者の健康管理を重視し、リスクマネジメント、コンプライアンスなどの観点から、労働環境の安全や衛生を見直す必要があるのです。こうした背景を踏まえて、法的にも産業医は企業に必要な存在となりました。

 

産業医の職務

産業医は、主に次の事項を行うこととされています。

(1)健康管理等

  1. 健康診断、面接等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  2. 作業環境の維持管理に関すること
  3. 作業の管理に関すること
  4. 労働者の健康管理に関すること
  5. 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
  6. 労働衛生教育に関すること
  7. 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること

(2)勧告等

労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、産業医は労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。また、産業医は労働者の健康障害の防止に関して、総括安全衛生管理者に対する勧告または衛生管理者に対する指導、助言をすることができます。

(3)定期巡視

少なくとも毎月1回は作業場を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害な業務があるときに、直ちに、労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講じなければなりません。

労働者の健康維持のため、厚生労働省は平成12年に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定しました。以降、企業における労働者の健康管理の重要性は一層高まっています。

 

企業における産業医の業務内容

企業・職場の健康をサポートする産業医は次のような業務にあたります。

主な業務内容

  • 労働安全衛生法の規定による職場巡視
  • 労働環境改善のためのアドバイス
  • 従業員の健康増進への提言
  • 健康測定
  • 健康診断のデータチェック
  • 健康診断後の事後措置
  • 過重負荷労働者の健康相談
  • 健康相談(メンタル含む)
  • 休職・復職相談健康管理のための教育や研修指導

産業医は、事業者の義務である従業員の健康管理をサポート・指導することで、事業場の安全衛生管理の改善や促進につなげる健康管理スタッフの長であり、健全な企業活動を行ううえで欠かせない存在だと言えます。
だからこそ優秀な産業医、自社にあった産業医を探し、契約しなければなりません。当サイトを監修するメディエイトでは、こうした企業の課題を解決し、ご要望にお応えするために産業医紹介サービスをご提供しています。

 

参照資料:労働安全衛生法 第66条(健康診断)より引用

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。

2.事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行わなければならな い。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

3.事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行わなければならない。

4.都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。

5. 労働者は、前各項の規定により事業者が行う健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行う健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行うこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

(自発的健康診断の結果の提出)

第66条の2 午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間におけ る業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であって、その深夜業の回数その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第5項ただし書の規定による健康診断を除く。)の結果を証明 する書面を事業者に提出することができる。

(健康診断の結果の記録)

第66条の3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第66条第1項から第4項まで及び第5項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)

第66条の4 事業者は、第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医 師の意見を聴かなければならない。

(健康診断実施後の措置)

第66条の5 事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、 労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若 しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法 (平成4年法律第九十号)第7条第1項 に規定する労働時間等設定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講じなければならない。

2.厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

3.厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

(健康診断の結果の通知)

第66条の6 事業者は、第66条第1項から第4項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

(保健指導等)

第 66条の7 事業者は、第66条第1項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第5項ただし書の規定による健康診断又は第66条の2の規定による健康診断 の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。

2.労働者は、前条の規定により通知された健康診断の結果及び前項の規定による保健指導を利用して、その健康の保持に努めるものとする。

(面接指導等)

第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところ により、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなけれ ばならない。

2.労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を 受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したとき は、この限りでない。

3.事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。

4.事業者は、第1項又は第2項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

5. 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短 縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措 置を講じなければならない。

第66条の9 事業者は、前条第1項の規定により面接指導を行う労働者以外の労働者であつて健康への配慮が必要なものについては、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 

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