暑熱順化で早めの熱中症対策を

近年の温暖化の影響で、夏の暑さは年々厳しさを増しています。気温が40℃を超える日も珍しくなく、気象庁は今年から40℃以上の日に「酷暑日」という名称を使用すると発表しています。
昨年の夏(6〜8月)は、全国の平均気温が平年より+2.36℃と統計開始以来もっとも高く、まさに記録的な暑さとなりました。
こうした状況では、熱中症を防ぐために、体を暑さに慣らす「暑熱順化」を早めに始めることが重要です。
体温調整のしくみと暑熱順化の必要性
体温が上がったとき、私たちの体は、汗をかいて気化熱で熱を逃がすしくみや、皮膚の血流を増やして体表面から熱を放散するしくみを使って体温を調整しています。
そして、暑い日が続くと、体は徐々に暑さに適応し、暑さに強い状態(=暑熱順化した状態)になります。
しかし本格的な暑さが始まる前の今の時期、私たちの体はまだ暑さに十分慣れていません。
暑さに慣れていない状態では、
- 皮膚の血流が増えにくく、熱をうまく逃がせない
- 体温が上昇しやすい
- 汗に含まれる塩分が多く、ナトリウムを失いやすい
といった特徴があります。そのため急に気温が上昇すると体が対応しきれず、熱中症が起こりやすくなります。
こうしたリスクを避けるためにも、夏本番を迎える前から意識的に暑熱順化を進めておくことが大切です。
暑熱順化のポイント
暑熱順化が進むと、体に以下の様な変化が起こり、熱中症になりにくい状態となります。
- 皮膚の血流が増えやすくなり、熱を効率よく逃がせる
- 体温が上昇しにくい
- 同じ作業でも心拍数が上がりにくく、体が楽に感じる
- 汗の塩分濃度が下がり、ナトリウムを失いにくくなる
暑熱順化のための行動
暑熱順化のためには、運動や入浴などで、無理のない範囲で「汗をかくこと」がポイントです。
運動や入浴の実施時間や頻度は以下が目安となります。出来そうなことから実践してみましょう。
- ウォーキング:30分/回、週5回
- サイクリング:30分/回、週3回
- ジョギング:15分/回、週5回
- 筋トレ、ストレッチ:30分/回、週5回〜毎日
- 入浴:シャワーだけでなく湯船に浸かる入浴を2日に1回
※上記はあくまでも目安です。個人の体質や体調、その日の気温や室内環境にあわせ、無理のない範囲で実施しましょう。
※運動を行う際は水分補給も十分に行うようにしましょう。
お忙しい方の場合、日常の中で身体を動かす機会を増やすことで暑熱順化を進めましょう。
以下の様にご自身の生活にあわせ、体を動かす機会を増やしてみましょう。
- 通勤で「一駅分歩く」
- 買い物は車を使わず自転車や歩きで行く
- 昼食の際は少し遠くまで食べに行く
- エレベータやエスカレーターを使わず、階段を利用する
暑熱順化のタイミング ~暑熱順化前線~
暑熱順化には個人差がありますが、2週間程度かかるとされています。
6月は梅雨の晴れ間など、急に気温が上昇することがあります。暑熱順化のための行動を早めに実践することで、この「夏前の急な暑さ」に備えることができます。
暑熱順化が進んでも、梅雨で涼しい日が続く、夏季休暇で冷房の効いた室内で長時間過ごすといった状況が続くと、数日で暑熱順化が失われることがあります。
涼しい環境で過ごした後は、再度暑熱順化のための対策を行うと安心です。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子

