夏に増える細菌性食中毒と予防のポイント

食中毒は一年を通して発生しますが、季節によって原因となる病原体が異なります。
低温で乾燥する冬場にはノロウイルスなどのウイルス性食中毒が多く、梅雨以降の高温多湿となる夏には細菌による食中毒が増える傾向があります。

今回は夏に多い細菌食中毒について、その特徴と予防法についてお伝えします。

食中毒とは?

食中毒は、食中毒を起こす微生物や有害物質などを含む飲食物を摂取することによって発生します。

食中毒の原因の多くは「細菌」や「ウイルス」ですが、アニサキスなどの「寄生虫」や、フグやキノコに含まれる「自然毒」、マグロ・サバなどに含まれるヒスタミンや洗剤・重金属などの「化学物質」が原因となることがあります。

細菌性食中毒の分類及び原因菌別の特徴

感染型
原因菌が体内で増殖し感染を起こすか、食品内で大量に増殖した菌が感染を起こすことが原因

毒素型
食品中で増殖した原因菌が作りだした毒素が原因

分類 原因菌 主な症状 潜伏期間 原因及び対策

サルモネラ 悪心、嘔吐、腹痛、
下痢、発熱等
6~72時間 十分に加熱していない卵・肉(特に鶏肉)などが原因

対策:熱に弱く、加熱で死滅させることができる。

カンピロ
バクター
下痢、発熱、腹痛、
悪心、嘔吐、頭痛等
1~7日で
平均2~3日
特に鶏肉に多く存在し、鶏肉のタタキや刺身、十分に火が通っていない焼鳥などが原因。手足の麻痺や顔面神経麻痺等を起こすギラン・バレー症候群を起こす場合がある。

対策:熱に弱く加熱で死滅させることができる。

腸炎ビブリオ 激しい腹痛、下痢、
吐き気、嘔吐等
10~24時間 海に生息する細菌で、塩分を好み真水に弱い性質があり、さしみ、すしなど生の魚や貝などの魚介類が原因。

対策:増殖が速い(37℃前後の場合10分で倍)が低温(4℃以下)ではあまり増殖せず、加熱に弱い細菌。

ウエルシュ菌 腹痛、下痢
(主に水様便と軟便)
6~18時間
(平均10時間)
熱に強い殻(芽胞)を作ることがこの菌の特徴で、芽胞は100℃・30分加熱しても分解されない。カレーやシチューなど寸胴鍋などで食品が大量に加熱調理された後、鍋に入ったまま数時間、室温に放置されている間に増殖する。
腸管出血性大腸菌 激しい腹痛と下痢、
血便
1~10日と長い 十分に加熱されていない肉、よく洗っていない野菜、井戸水やわき水が原因。重症例では溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳障害を併発することがあり、重症の場合は死に至ることがある。

黄色ブドウ球菌 吐き気、嘔吐、
腹痛、下痢
30分~6時間と
短い
この菌が作る毒素は熱に強く、一度毒素ができてしまうと、加熱しても食中毒を防ぐことはできない。人の皮膚、鼻や口に存在している菌で、素手で作られる食べ物(おにぎり、サンドイッチ、お弁当など)が原因。
セレウス菌

(嘔吐型/毒素型)

吐き気、嘔吐 30分~3時間と
短い
土壌中に分布し、芽胞を形成する。エンテロトキシンの他に耐熱性の嘔吐毒(セレウリド)をつくり、毒素型食中毒を起こします。

40~50℃で発育が盛んとり、常温で放置したピラフ、スパゲティなどが原因食品。

 

食中毒を予防するために

食中毒菌を「つけない、ふやさない、やっつける」という「食中毒の予防三原則」を遵守することが大切です。

持参のお弁当やテイクアウト商品の注意点
テイクアウト商品は、購入後はなるべく早めに食べるように(調理後2時間以内が目安)。
食中毒菌は10℃~65℃の間で繁殖しやすいとされています。
お弁当には保冷剤を利用し、職場では冷蔵庫で保管すると安心。

職場の冷蔵庫や給湯室の管理
冷蔵庫内に期限切れの食品を残さない様に保存や廃棄のルールを決めておき、庫内を定期的にチェック。
また冷蔵庫内、流しのスポンジや布巾なども清潔な状態を保つ。

しっかり手洗いを行う
食事の前はしっかり手洗いする。また調理の際は、調理を始める前、生の肉や魚、卵を取り扱った後、調理の途中でトイレに入ったり鼻をかんだ後などは、しっかり手洗いを行う。

食材はしっかり加熱する
カンピロバクターやサルモネラは75℃以上1分以上の加熱で死滅。鶏肉は新鮮だから安全ということはありませんので、しっかり中心部まで熱を通して調理するように。食中毒菌の多くが熱に弱い性質を持つため、肉に限らず、野菜等のほかの食品についても、なるべく加熱して食べるようにすると安心。

肉や魚を切ったまな板・包丁などの調理器具の消毒
調理器具を介した食中毒もありますので、調理器具は利用後、洗剤でしっかりと洗浄し、熱湯などで消毒。

冷蔵保存
調理後保存する場合は、常温に放置せず、清潔な容器に入れ替え速やかに冷蔵保存。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子