お酒の強さと遺伝
4月となり、入社や異動のシーズンを迎えました。この季節、歓迎会等でお酒を飲む機会も増える時期になります。
お酒は上手に飲むことでコミュニケーションを促進したり、ストレスを解消したり、食事を美味しくさせたりといったメリットがあります。
反面、お酒の強さには個人差があり、自分に合った飲み方をしないと体に負担をかけるだけでなく、病気につながることもあります。
今回はお酒の強さはどのような要因で決まるのか、遺伝的な違いを中心にお伝え致します。
お酒の強さを決める要因
遺伝
アルコール分解酵素の遺伝子型の違い
性別
男性よりも女性の方がアルコールの影響を受けやすい
<理由>
①アルコール分解酵素の働きが男性より弱い
②体内の水分量が男性より少ない
③女性ホルモンの影響
年齢
加齢に伴いアルコールに弱くなる
<理由>
①加齢に伴い体内の水分量が減少する
②アルコール分解酵素の働きが低下する
体重
体重が重いほど血液量や体内の水分量が多いためアルコールの影響を受けにくい
→ 一般的には1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」
お酒の強さを決める アルコール分解酵素の遺伝子型
お酒の強さは、「ADH1B」と「ALDH2」という2種のアルコール分解酵素が、遺伝的にどのような組み合わせとなっているのかで決まります。
アルコールが体内に入ると、肝臓でまず「アルコール脱水酵素(ADH)」によってアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドは毒性が強い物質で、顔面や体の紅潮、頭痛、吐気、頻脈等を引き起こし(フラッシング反応)、二日酔いの原因物質にもなります。
この有害なアセトアルデヒドは主に「2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」によって無害な酢酸へ代謝され、最終的に二酸化炭素と水に分解されて体外に排出されます。
アルコール脱水素酵素(ADH)の遺伝子型による影響
ADHには様々タイプが存在しますが、その中でも「ADH1B」がアルコールの代謝には重要となります。
ADH1Bには「低活性型・活性型・高活性型」の3つの遺伝的多型があります。
【低活性型】
- アルコールの代謝が遅いために「ほろ酔い」の状態が長く続く
- アセトアルデヒドの発生も遅いため、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気などの不快なフラッシング反応が起こりにくく、飲みすぎた場合は翌日にお酒が残りやすい
- 日本人の約7%は、低活性型だと言われている
- 飲酒量が多くなりやすいことから、アルコール依存症になりやすい
- 同程度の飲酒では、活性が高いタイプよりも低活性型の方が食道や咽頭の癌になりやすい
【活性型・高活性型】
- アルコールの代謝が速いために血中のアルコール濃度は上がりにくく、酔いを感じにくい
2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子型による影響
「ALDH2」は有害なアセトアルデヒドを代謝するもので、日本・中国など東アジアでは、遺伝子の突然変異により酵素の活性が低い人が多く存在します。
日本人では低活性型が40%、不活性型が4%と約半数の人が活性度の低い遺伝子タイプを持っていますが、アフリカやヨーロッパ系の人種では低活性型や不活性型はほとんど見られません。
ALDH2には「活性型・低活性型・不活性型」の3つの遺伝子タイプがあります。
【活性型】
- アセトアルデヒドの代謝が速やかに行われるため、お酒に強い体質になる
- お酒をたくさん飲むことができる反面、酒量をコントロールできずに酒量が多くなりやすく、飲酒が原因の肝疾患やがん、生活習慣病やアルコール依存症のリスクが高まる
【低活性型】
- アセトアルデヒドが体内にたまりフラッシング反応が起こりやすく、お酒に弱い体質になる
- 無理な飲酒を続けると食道がん等の発がんのリスクも高くなる
【不活性型】
- お酒を全く飲めない体質で、少量の飲酒でも急性アルコール中毒を起こす可能性があり注意が必要
- 無理な飲酒を続けると食道がん等の発がんのリスクも高くなる
適度に、体質にあわせてお酒を楽しみましょう
お酒を楽しむにあたっては、ご自身のお酒の強さがどの程度なのかを理解し、自分にあった量で楽しむことが大切です。フラッシング反応が起こりやすい方やお酒を全く受け付けないという方は、無理して飲まないようにしましょう。
また周囲の方は、お酒に弱い方に対し無理にお酒を勧めない様にすることも大切です。
お酒に強いタイプの方は、肝障害や生活習慣病等アルコール多飲による病気のリスクやアルコール依存症に陥る危険性があります。
一般に1日の純アルコール摂取量が、男性40g、女性20gを超えると病気のリスクが高まると言われています。飲める方の場合でも、飲み過ぎに注意し適量を楽しむようにしましょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子