耳の日に考える“聞こえの健康” ~ヘッドホン・イヤホン難聴~
3月3日は耳の日、この日は電話の発明者であり、ろう教育者としても功績を残したグラハム・ベルの誕生日です。3月3日前後には、「聞こえ」や「難聴」など、耳にまつわるイベントが日本各地で多数開催されます。
さて、耳の健康の問題の一つに「難聴」があります。難聴にはさまざまな原因がありますが、私たちの身近にある要因として近年注目されているのが、ヘッドホンやイヤホンの使用による難聴です。WHO(世界保健機関)は、世界の若者の約半数にあたる11億人が難聴のリスクにさらされていると報告しています。
今回は、若い世代でも注意が必要な「ヘッドホン・イヤホン難聴」についてお伝えします。
ヘッドホン・イヤホン難聴とは
ヘッドホンやイヤホンを使い、大きな音量で音楽などを聴き続けることにより、音の振動を脳へと伝える役割がある内耳の「有毛細胞」が徐々に破壊されることで起る難聴です。有毛細胞は一度破壊されてしまうと治らないことから、重症化すると聴力の回復も困難となります。
ヘッドホン・イヤホン難聴の症状
両耳の聞こえが時間をかけて少しずつ進行していくため、聞こえにくさを自覚しにくいことが特徴です。気が付いた時には、すでに症状が進行してしまっていることが多いと言われています。
主な症状は、両耳の聞こえにくさのほか、耳鳴りや耳閉感(耳が詰まった感覚)が伴うことがあります。聞こえにくさは初期には高音域(特に4000㎐)から始まり、徐々に会話や日常生活で使う音の高さ(1000㎐)の聞こえが悪くなり、生活にも支障をきたすようになります。
ヘッドホン・イヤホン難聴の治療
ヘッドホンやイヤホンによる難聴は、症状が進んでしまうと有効な治療法はありません。(聴力が低下した場合の対応手段としては、補聴器を利用することで、聴力を補う場合もあります。)
重症になる前に難聴に気づくためにも、耳鳴りや耳閉感など、耳に違和感や問題を感じるようであれば、早めに耳鼻科を受診し相談することが大切です。
耳の健康チェックリスト
以下チェックリストに該当する項目があれば一度受診してみましょう。
□ 話し声がはっきり聞き取れず、聞き間違えたり聞き返したりすることがある
□ 話し声が大きいと言われる
□ 集会や会議など数人の会話がうまく聞き取れない
□ 電子レンジの音やドアのチャイムの音が聞こえにくい
□ 音の方向感が分かりにくくなる
□ 「ワ―ン」「キーン」等の音が耳でなっている状態が1日以上続く
□ 相手の言ったことを推測で判断することがある
□ 家族からテレビやラジオの音量が大きいと指摘される
□ 後ろから呼びかけられると気づかないことがある
□ 時計のアラームなど高い音が聞き取りにくいと感じる
□ 耳が詰まったような感覚が抜けない
□ 音が割れたようにカシャカシャ聞こえる
ヘッドホン・イヤホン難聴の予防

ヘッドホン・イヤホン難聴は、「予防する」ことが最も有効な対策です。
予防のためのポイントは以下の通りです。
- ヘッドホン・イヤホン利用の場合は、音量を下げ、長時間連続して聞くことを避け、休憩をはさむようにする
→ 80㏈未満で聞くようにする。また80㏈の場合、週に40時間以内の利用にとどめる。
※WHOはヘッドホン・イヤホン難聴を予防するための安全な音量として、ヘッドホンやイヤホン装着時は80dB(走行中の電車内くらいの音量)を推奨しています。
また、成人なら80dBで1週間当たり40時間以上、90dBの場合は1週間当たり4時間以になると難聴の危険があるとされています。 - 騒音下でも音量を上げずに済むように、耳にフィットした「ノイズキャンセリング機構」により周囲の騒音をカットできるヘッドホン・イヤホンを使用する。
- 音量制限や監視機能のついたスマートフォン・ヘッドホンなどを利用したり、音量を確認できるアプリなどを使用し、聞く音量を平均80dB未満に抑える
日頃からヘッドホンやイヤホンの音量・使用時間に気を配り、耳に違和感があれば早めに受診することが、将来の“聞こえ”を守ることにつながります。
ヘッドホンやイヤホンの利用機会が多い方は、この機会にご自身の聞こえを意識いただき、難聴にならない様ヘッドホン・イヤホンの利用方法を工夫してみましょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子
【出典】
厚生労働省HP:「聞こえにくさ感じていませんか?」 https://www.mhlw.go.jp/nanntyou/index.html

