糖尿病と頻尿の関係について

最近「トイレが近い」「夜中に何度も起きてしまう」といった「頻尿」の症状はありませんか?
「頻尿=泌尿器の問題」と思われがちですが、血糖値の上昇が原因で起こることもある症状です。
糖尿病とは
糖尿病は、血糖を下げる役割を持つホルモンである「インスリン」が十分に働かないことが原因で、慢性的に血糖値が高い状態が続く病気です。糖尿病には、主に1型と2型の2つのタイプがあります。
1型糖尿病
膵臓のランゲルハンス島に炎症が起こり、インスリンを作る膵β細胞が破壊されることで、インスリンが十分に分泌されなくなり、高血糖を引き起こします。
原因はまだはっきりしていませんが、遺伝的要因やウイルス感染などが誘因となり、自己免疫という仕組みが関与して発症すると考えられています。
若年での発症が多く、急激に血糖値が上昇することが特徴です。劇症1型では数日~数週間、緩徐進行1型でも数か月~数年で高度な高血糖を示します。
2型糖尿病
遺伝的要因や生活習慣の影響により、インスリンが十分に作用しない「インスリン抵抗性」が起こったり、インスリンの分泌量が低下したりすることで、高血糖を引き起こします。
中高年以降に発症することが多く、徐々に血糖値が上昇して発症するのが特徴です。
糖尿病の合併症
糖尿病の怖さは、合併症にあります。血糖値が高くても、初期には自覚症状がほとんどありません。
自覚症状がないからといって高血糖の状態を放置すると、人工透析が必要になる可能性がある腎臓病や、失明の原因にもなる網膜症、神経障害などを引き起こすことがあります。
また、動脈硬化によって起こる脳卒中や心筋梗塞、足の壊死などにつながる足病変など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
糖尿病の症状
血糖の上昇が軽い段階では、自覚症状が出ないことが多いです。
血糖値が著しく上昇すると、
①喉の渇きや多飲
②多尿・頻尿
③体重減少
④体のだるさ
などの症状が現れます。
また、血糖値が極端に高くなった場合は、意識障害や昏睡を起こすこともあります。
糖尿病と頻尿の関係
糖尿病の症状の一つに「頻尿」があります。糖尿病では、なぜ頻尿が起こるのでしょうか?
糖尿病で頻尿が起こる原因には、高血糖によって尿量が増えること(多尿)と、合併症の一つである神経障害によって排尿障害が起こることが挙げられます。
高血糖による頻尿
頻尿には、1回の尿量が少なく排尿回数が増える場合と、1回の尿量は正常でも、1日の尿量自体が増える「多尿」の場合があります。高血糖による頻尿は、主に多尿が原因です。
尿は腎臓で作られます。腎臓に入った血漿は、腎臓の糸球体という部分で濾過され、原尿という尿のもとが作られます。通常、腎臓では尿のもととなる原尿が1日約150L作られ、その99%が再吸収され、約1.5Lが尿として排出されます。
血糖値が正常であれば、糖も再吸収され、尿にはほとんど排出されません。しかし、血糖値がおおよそ180㎎/㎗を超えると、腎臓の再吸収できる能力を超えて糖が尿に排出されるようになり、水分も一緒に引き込まれる「浸透圧利尿」を起こすため尿量が増加します。
その結果、多尿(尿量が1日3ℓ以上)や頻尿が起こり、水分不足によって強い喉の渇きも生じます。
糖尿病性神経障害による排尿機能の異常による頻尿
血糖値が高い状態が続くと、合併症として神経障害を起こします。
排尿に関わる末梢神経にも障害が起こり、神経因性膀胱(膀胱および尿道括約筋を支配する神経の障害によって引き起こされる排尿障害)を起こします。
神経因性膀胱となると、膀胱の収縮や尿意の伝達がうまくいかず、急な尿意や頻繁な尿意を起こし、頻尿となることがあります。
糖尿病が原因の頻尿が疑われたら

糖尿病かどうかは、定期健康診断などで「血液検査での糖代謝」と「尿検査での尿糖」の結果を確認しましょう。
空腹時血糖が126㎎/㎗以上、HbA1cが6.5%以上、随時血糖が200㎎/㎗以上、尿糖が陽性であれば糖尿病の可能性があります。
頻尿の症状は、この基準値程度では出現せず、糖尿病が進み血糖値がかなり高くなった状態で起こりますので、頻尿があり、糖代謝の異常がある場合は、糖尿病内科やかかりつけ医へお早めにご相談下さい。
なお、頻尿の症状があっても糖代謝に問題がない場合は、別の原因による頻尿が考えられます。この場合は泌尿器科に相談しましょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子

