心臓の病気について

8月10日は「健康ハートの日」です。日本心臓財団が「810(ハート)」にちなんで、心臓の健康を考える日として提唱しており、この日の前後は、心臓の病気を予防するキャンペーンや様々なイベントが行われます。

心臓は生まれたときから休みなく動き続け、1日に約10万回も収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り届け私たちの命を支えています。今回は代表的な心臓の病気について、そしてその予防についてお伝えしています。

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

心臓を動かしている心筋に、酸素や栄養素を含む血液を送り込んでいるのが「冠動脈」という血管です。この冠動脈が動脈硬化や血栓などによって閉塞することで、心筋へ血液が行かなくなる病気が虚血性心疾患です。

狭心症

【原因】
冠動脈の血流が悪くなり、心筋に必要な血液の不足

【症状】
突然、締め付けられるような重苦しさ、圧迫感がある痛みが、前胸部やみぞおち付近に起こります。痛みは胸だけなく、肩や頸、歯や喉の痛みとして感じることもあります。痛みの継続時間が短いことが特徴で、多くは1~5分程度、長くても15分以内で治まります。
狭心症の場合は、その薬であるニトログリセリンが良く効きます。

心筋梗塞

【原因】
血管内のプラークが破れて血栓ができ、冠動脈が急激に、そして完全に閉塞し、心筋が壊死を起こす

【症状】
締め付けられるような激しい痛みが生じます。痛みには不安感、重症感があり、持続時間が長く15分以上継続します。
狭心症で効果があるニトログリセリンは、心筋梗塞には効果がありません心筋梗塞で心筋の壊死が進むと心臓の収縮・拡張という血液のポンプの役割を果たせなくなるため、命に関わる危険な状態となります。

心不全

心不全は病気の名前ではなく、何らかの心臓の異常によって心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態のことを指します。

心不全には、急性心筋梗塞などより急激に心臓の働きが悪くなる急性心不全と、心不全の状態が慢性的に続く慢性心不全があります。

【原因】
高血圧や心筋梗塞・弁膜症・心筋症等といった心臓の病気により、心臓に負担がかかった状態の継続

【心不全になると】
血液を送り出すポンプ機能が低下し、全身に十分に血液がいきわたらないことで、疲労感、不眠、息切れ、呼吸困難、むくみ(浮腫)やむくみによる体重増加等が起こります。

初期の段階…階段や坂道を登った時に息切れする。

進行すると…少し歩いたり、身体を動かすだけでも息苦しくなる。

悪化すると…安静時でも症状が出るようになり、夜中寝ている時に咳が出たり、息苦しさを感じ寝ることができなくなる。この寝ている時の症状は、身体を起こすと良くなることが特徴で(起座呼吸)、この起座呼吸の状態まで進むとすぐに入院が必要になる。

不整脈

不整脈とは病名ではなく、心臓のリズム(調律)が異常になった状態のことです。
大きく分けると3つの種類があります。

  1. 期外収縮:脈がとぶように感じ不規則となる
  2. 頻脈:脈が速くなる
  3. 徐脈:脈が遅くなる

不整脈には治療の必要のないもの、治療が必要で場合によっては命に関わるものもあります。



積極的な治療が必要 日常生活に大きな支障があったり自覚症状の強い不整脈、心房細動のように脳梗塞を引き起こす可能性のある不整脈
必要となる可能性あり めまい・冷や汗・吐き気を伴う頻脈、身体を動かすのがつらくなり、動くと息切れを起こす徐脈、胸痛や胸の不快感を伴ったり、脈のリズムがバラバラになるような期外収縮の場合
経過観察でも良い 基礎心疾患がなく、自覚症状も強くない上室・心室期外収縮、軽度の洞頻脈、軽度の洞徐脈等の場合

 

不整脈は健診等の心電図検査で発見されることもあります。心電図異常が出た場合は、必ず精密検査を受けましょう。
また不整脈の自覚症状には個人差もありますので、治療が必要かについては、受診の上医師に相談頂くと安心です。

心臓の病気を予防するために

心臓の病気には様々なものがありますが、その多くが高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満、運動不足、喫煙といった動脈硬化を引き起こす病気が原因となっています。
またストレスも交感神経を高め、心臓に負担をかけることで心臓の病気の引き金や悪化要因となると言われています。

このことから、心臓の病気の予防には、塩分や糖質、脂肪分を控え、食べ過ぎないこと、適度な運動を行い、肥満を予防すること、禁煙すること、ストレスへのセルフケアを行い睡眠や休息を十分にとること等の生活習慣での対応が重要です。

そして、定期健診などで高血圧や脂質異常症などの生活習慣病が見つかった場合や、心電図異常があった場合は医療機関に受診し、精密検査や適切な治療を受けることも重要です。また、心臓に関する自覚症状がある場合は、大丈夫と自己判断せずに医師に相談するようにしましょう。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子