外出自粛生活を乗り越えるために(メンタルヘルス編)
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、全国を対象に緊急事態宣言が出され、外出を自粛し「人との接触を8割、最低でも7割減らすこと」が強く求められています。
このような状況の中で、お仕事でも在宅勤務・自宅待機となられている方も多くいらっしゃると思います。またレジャーやショッピングなどの気晴らしの外出も難しく、感染症が流行する前とは、生活のスタイルが大きく異なる毎日が続いています。
感染症終息の見通しがつかない中、長期化する可能性があるこの自粛生活は、「コロナうつ」などという言葉が聞かれるように、メンタルへルスへの影響が懸念されていますし、外出の自粛による身体活動量の低下など、私たちの身体の状態にも影響を及ぼすと考えられます。
今回のウエルネスレポートでは、外出自粛生活における「こころの健康(メンタルヘルス)」についてお伝えします。(次号で「からだの健康」についてお伝えする予定です)
外出自粛のメンタルヘルスへの影響とは?
仕事環境や生活スタイルの変化は、ホルモン分泌や睡眠リズムなど、私たちの生体リズムをつかさどる「体内時計」のリズムの変調を引き起こす可能性があります。
また、人と会話や会食、趣味の外出といった「ストレスの解消」も難しい状況になっています。先行きが見通せない状況下で、ウイルス感染に対する不安や、思うように仕事ができないことへの不安感などを抱えている方も多くいらっしゃることと思いますが、不安感が強い中で、体内時計のリズムが崩れ、ストレス解消の手段がない状態が続くと、不眠や食欲の低下、不安感や意欲の低下などのメンタルヘルス不調を引き起こす可能性があります。
メンタルヘルスの健康を保つために
日本うつ病学会はホームページ上に、日常生活を規則的に送るための医学的根拠に基づいた自己管理術として、「新型コロナウイルス感染症の世界的大流下における、こころの健康維持のコツ」を掲載しています。
この中で、規則正しい生活を送り体内時計のリズムを整えること、そして外出できない状態であっても人とのコミュニケーションを持つことがポイントとして書かれています。以下に少し簡単にまとめた形でご紹介させていただきます。
- 自宅待機や在宅勤務であっても、自分自身で毎日決まって行う日課を設定しましょう。
- 在宅での仕事や学習、友人との電話、料理など、日々の活動は毎日、同じ時間に行いましょう。
- 毎日一定時間は屋外で過ごすようにしましょう。(密閉・密集・密接 の 3 密の状況を避けた形で)体内時計の時計合わせのためには朝の光が欠かせないため、午前中早い時間帯の外出が望ましいでしょう。
- 外出できない場合は、少なくとも2 時間は窓際で過ごし、日の光を浴びながら、心の落ち着ける時間を持ちましょう。
- 毎日、なるべく決まった時間に運動をしましょう。
- 毎日、同じ時間に食事をしましょう。食欲がない場合は少量で良いので、口にしましょう。
- 日中の昼寝(特に、午後遅くの昼寝は)は避けましょう。昼寝をする場合は30分以内に。
- 夜間に明るい光、特にスマートフォンやパソコンディスプレイによるブルーライトを浴びるのは避けましょう。
- ブルーライトは、睡眠に不可欠なホルモンの分泌を妨げます。
- 自分自身に合った起床と就寝の時間を決め、一貫してその睡眠リズムを保つようにしましょう。
- もし、あなたが夜型ならば、たとえ家族の人より少し遅く 寝て、少し早く起きることになったとしても大丈夫です。
- 毎日、同じ時間に床 につき、同じ時間に起きることがポイントです。
- 人との交流は、たとえ社会的距離確保の期間中であっても大切です。テレビ電話か音声通話かはどちらでも結構ですので、可能そうな方とコミュニケーションの機会を持つようにしましょう。すぐに相手が思いつかなくとも、誰かいなかったかを思い出してみましょう。
LINE のような文章だけの会話であっても、リアルタイムにメッセージが行き交うものであれば大丈夫です。そして、毎日、 同じ時刻にそういった相手とコミュニケーションするスケジュールを持ちましょう。
(全文は日本うつ病学会HP(https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/)に掲載されています。)
すべて実践することに負担感がある場合は、出来ることをまずは実践いただくとよいと思います。
規則正しい生活を送ることで、外出自粛が解かれた時にもスムーズに元の生活に戻ることも可能になると思います。
メンタルヘルスの不調を感じたら専門家へ相談しましょう
規則正しい生活などセルフケアに努めていても、不眠や強い不安感、意欲の低下などのメンタルヘルス不調が継続するような場合は、専門家や産業医に相談しましょう。
社内産業保健スタッフへメールなどでご相談いただくことができると思います。ご加入の健康保険組合や社外EAPでもメンタルヘルスの相談を受けている場合があります。また、かかりつけ医やお近くの心療内科へご相談いただいても良いでしょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子