紫外線による体への影響は? 《Vol.36》
紫外線は悪い事ばかりではありません
毎日ギラギラと照りつける太陽。6月から8月の、まさに今が一年で最も紫外線量が増加する季節です。ここ20年間で、紫外線量は年平均6~14%も増えており、地球温暖化に伴うオゾン層破壊によって引きおこされる紫外線の増加に、ますます関心が高まってきています。
しかし、日本での男性や小児・若年層への紫外線対策は、まだ十分とは言えない状況です。過度の紫外線は、日焼け・しわ・しみ等の原因となるだけでなく、時に皮膚腫瘍や白内障等を引き起こしたり、免疫力の低下の原因になる事があります。
しかし一方で、紫外線は体に悪影響を及ぼすばかりではありません。カルシウム代謝に必要なビタミンDを生成する手助けをしたり、睡眠を促すメラトニンの分泌にも適度な紫外線が必要となってくる為、特に高齢者や妊娠中の方には、適度な日光浴をお勧めします。
個人・企業における紫外線対策
この季節、就業者の方々への紫外線対策の啓蒙活動が重要です。就業者の方々に対し以下の指導をお勧めします。
- 曇りや雨の日も紫外線は降り注いでいるため、天候に関係なく紫外線対策を行って下さい。
- 日中、会社・学校・自宅等の建物内にいることが多い方でも、通勤・通学時はもちろん、家の中でも紫外線を過剰に浴びている可能性もあるため、サングラスや日焼け止めなどの使用を適宜行って下さい。
- 湿度が高く汗をかく状況では、一度塗った日焼け止めの効果が半減してしまう事があるためこまめに日焼け止めを塗りなおして下さい。
- 日焼け止めなどを使用した上で1日15分程度、適度に日差しを浴びるよう心がけて下さい。
- ビタミンの積極的な摂取を勧め、バランスの取れた食生活、睡眠時間の確保などを推奨して下さい。
- 医療・工業用紫外線をばく露する状況下での就業では、防護作業用具の着用が必要です。また、それらが適切に使用されているか定期的にチェックして下さい。
特に職場での紫外線ばく露に対しては、一般の産業保健上の有害業務管理と同様に、各部署ごとの対策も必要です。その際、産業医・産業保健師・衛生管理者との連携が重要となります。
また、就業時に常時、十分な防御対策が行えているかをチェックする事や、定期的に就業者の健康診断を行うことも大切です。就業時も日常生活においても、正しい紫外線対策の知識を持ち、紫外線と上手につきあいましょう。
株式会社メディエイト産業医 望月香織(Kaori Mochizuki M.D)
適度な日差しを浴びて、夏を元気に乗り切りましょう!