5月病に注意しましょう

春は入社や異動、入学など新たなスタートの季節ですが、環境や生活リズム・人間関係等の変化に伴い、心身の負荷が大きくなる時期でもあります。

5月に入る頃になると新たな環境に慣れてはきますが、緊張した状態が続いたことから疲労が蓄積し、やる気が出ない、気分が落ち込むなどといった「5月病」の症状が起こることがあります。

今年は新型コロナウイルス流行のために、いつもとは違った状況で新年度を迎えており、例年以上に5月病に対し注意が必要です。今回は5月病についてお伝え致します。

5月病とは

5月病は医学的な病名ではなく、一般に5月連休明け頃に出現する以下の様な心身の不調のことのことを言います。

【心身の不調 症状】
やる気が出ない
意欲・興味がわかない
憂鬱である
不安や焦りを感じる
気分が落ち込む
頭が回らない
会社に行きたくない
よく眠れない
疲れやすい
なんとなく体調が悪い
食欲が出ない
頭痛がする

このような症状があっても一時的であれば問題がないのですが、中々改善されない、もしくは症状が悪化してくるという場合は、「適応障害」や「うつ病」に至ることもありますので注意が必要です。

コロナ禍における5月病

コロナ禍において、生活スタイルの変化や外出・娯楽の制限、コロナ感染への不安などによって、ストレスを抱えやすい状況が続いています。
仕事では、在宅勤務が推奨されたり、会食の自粛が行われ、コミュニケーションがとりにくい状況となっています。

分からないことや困りごと等も周囲に気軽に聞くことが出来ず、新しい職場や業務、生活に適応していくことがいつにも増して難しくなるなど、心的負荷がかかりやすい状態になっています。
このため、今年は例年以上に5月病に注意が必要となると考えられます。

5月病を予防するために

5月病の主な原因は、環境の変化に伴う心的な負荷(ストレス)や疲労であると考えられますので、十分な休息と睡眠をとり、ストレスに対するセルフケアを行うと良いでしょう。

以下にストレスに対するセルフケア法をご紹介します。

ストレスから離れる時間を持つ

ONとOFFの切り替えを大切にしましょう。仕事が終わったら、仕事から思考を切り替えることが大切です。趣味を楽しんだり、好きなものを食べるなどして気分転換を図りましょう。

身体活動量を増やす

体を動かすことは、気分を改善しストレスの緩和につながると言われています。
在宅勤務の場合、活動量が少なくなりがちです。昼食を歩いて買いに行ったり、普段通勤している時間帯に散歩したり、仕事の合間にストレッチやラジオ体操をするなど意識して体を動かしましょう。日中の身体活動量UPは、良い睡眠にもつながります。

生活のリズムを整える

在宅勤務の場合でも、起床・就寝や食事時間は一定にしましょう。生活リズムが崩れると「体内時計」のリズムの変調を引き起こし、睡眠障害やメンタルヘルス不調の誘因となります。

体内時計を正常に保つためには、朝食を抜かないこと、また朝の光をしっかり浴びるようにすることも大切です。

人との交流を持つ

対面でのコミュニケーションが難しい状況でもWEBや電話での会話を楽しんだり、LINEなどで文章でのやり取りを行うことはできます。

新しい環境での不安感や心配事など自分の気持ちを表出することは、ストレスの軽減につながりますし、相手からの言葉で安心感を得ることもできるでしょう。

長引く5月病の症状には早めの対応を

休息をとり、ストレスに対するセルフケアを行っても5月病の症状が改善されずに続いてしまう場合は、「うつ病」や「適応障害」といったメンタル不調を起こしている可能性があります。

早めに専門家(社内産業保健スタッフ、心療内科や精神科など)に相談いただくと良いでしょう。

また、セルフケアに加え、ラインケアもこの時期は大切となります。在宅勤務中であっても、WEBや電話などで定期的に部下とコミュニケーションを取り、メンタルヘルス不調のサインを早めにキャッチするようにしましょう。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子