梅雨の時期から気をつけたい熱中症

一昨年の2022年、6月下旬から7月上旬にかけて東京都心で9日間連続35度以上の猛暑日となるなど、記録的な暑さとなりました。この記録的猛暑により2022年6月の熱中症による全国の救急搬送者数は、約1万6千人と過去最高となりました。

2022年の様に梅雨時期の6月でも、急に気温が上昇すると熱中症の危険が高まります。
今回は梅雨の時期からの熱中症対策についてお伝え致します。

熱中症とは

高温多湿の環境下で、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体温調整機能が破綻することによって発症します。

熱中症の症状では以下の様な症状が見られます。
めまい、たちくらみ、気分の不快感、手足のしびれ、筋肉のこむら返り、筋肉痛、多量の発汗、頭痛、吐気・嘔吐、倦怠感、虚脱感、痙攣、意識障害、高体温 など

梅雨の時期の熱中症

梅雨の時期は天候によって30度を超える真夏日になったり、急に気温が低下するなど寒暖差が大きい時期です。また気温が高くない場合でも、湿度が高い日が多くなります。

梅雨の時期に発症する熱中症の原因
① まだ体が暑さに慣れていない時期のため、急な高温に体が対応できない。
② 気温がそれほど高くなくても高湿度のために、汗などによる熱の放散が難しくなる。

「暑熱順化」で梅雨の時期から早めの熱中症対策を

熱中症の予防のためには、本格的な暑さが始まる前に体を暑さに慣らす「暑熱順化」が効果的です。

体温が上昇時、汗をかいたり、皮膚血管を拡張させ体の表面から熱を逃がすことによって体温を調整します。暑さに慣れていない時期は、急に暑くなってもこのような体温の調整機能が十分に働かないため、熱中症の危険が高まります。

暑熱順化が進むと発汗量や皮膚血流量が増加し、発汗による熱の気化や体の表面から熱を逃す熱放散がしやすくなります。

暑熱順化には個人差もありますが、数日から2週間程度かかるそうです。このため、暑さが厳しくなる前に、運動や入浴などで「汗をかく」行動を無理のない範囲で実施しましょう。

暑熱順化のポイント

屋外で活動量UP
・ウォーキング 1日30分を週5日程度
・ジョギング  1日15分を週5日程度
・サイクリング 1日30分を週3回程度
日常生活で活動量をUPすることも効果的です。通勤時なるべく階段を使ったり、一駅手前で降りて歩くなど「少し汗をかく」ことを意識しましょう。

屋内で活動量UP
軽く汗をかく程度の軽い筋トレやストレッチを1日30分、週に5日程度実施しましょう。

入浴
シャワーのみで済ませず、湯船につかって汗を出しましょう。
入浴の頻度は2日に1回程度が目安です。

※運動や入浴にあたっては、個人の体質・体調、その日の気温や室内環境に合わせて無理のない範囲で行うようにしてください。

熱中症警戒アラートや暑さ指数(WBGT)で情報収集を

天候によって熱中症の危険度も変わってきますので、その日の熱中症発症リスクを知り適切な予防策をとることが大切です。

熱中症の発症リスクは、「熱中症警戒アラート」「暑さ指数(WBGT)」で確認することができます。これらの情報は「環境省熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp)」にて確認できます。またLINEによる情報提供も行われています。

熱中症警戒アラート
熱中症の危険性が極めて高くなると予想される日の前日17時頃又は当日朝5時頃の1日2回発表されます。今年4月からは、熱中症警戒アラートの一段上の熱中症特別警戒アラートが新たに創設されています。

暑さ指数(WBGT)
人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、「気温」、「湿度」、「日射・放射」、「風」の要素をもとに算出された指標です。
暑さ指数が28以上になると熱中症の救急搬送の発生率が増え、31以上になると危険な暑さとなります。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子