喘息と咳喘息について
風邪などの感染症が流行する季節ですが、風邪をひいた後も咳が治らず続いているということはありませんか?
通常、風邪が原因の咳は3週間以内に治まりますので、それ以上続く咳は「咳喘息」や「喘息」などが原因となっている可能性があります。今回は「喘息」、そして「咳喘息」についてお伝えします。
喘息とは?
喘息(気管支喘息)は、空気の通り道である気道に慢性的に炎症が起こる病気です。炎症により様々な刺激に敏感となり、発作的に気道が狭くなることで呼吸がしにくくなる病気です。成人での有病率も10%程度と言われ比較的高頻度でみられます。
喘息は治療によって症状を改善させることは可能ですが、一度喘息になると現在の医学では完治させることが難しい病気です。症状を放置したままにしておくと、炎症が悪化して気道の壁が厚く硬くなり、狭くなってきます。これを「気道のリモデリング」と言い、難治化の原因となります。
しかし喘息の症状を放置せず早めに治療を行うことで、症状をコントロールし普通に日常生活を送ることが可能です。このため、喘息の症状が疑われた場合はしっかりと治療を行っていくことが重要です。
喘息の症状
喘息の主な症状は、発作的に起こる激しい咳や痰、息苦しさ、胸の痛みや喉の違和感などです。
特徴的な症状としては「喘鳴」があります。これは、呼吸の際に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という特徴のある音を伴うもので、狭くなった気管や気管支に無理に空気が流れることで起こる音です。
喘息の症状は、
- 自律神経の影響で気道が狭くなる夜間や早朝に出やすい
- 季節の変わり目や気圧の変化、寒暖差の影響で症状の悪化が見られる
コントロ―ル状態が悪いと激しい喘息の発作が起こり、呼吸困難から時に命に関わることもあります。
喘息の原因
原因はアレルギー性と非アレルギー性があり、大人の喘息は非アレルギー性が多いと言われています。
アレルギー性
ダニの死骸や糞、ペットの毛、カビ、ホコリ等のハウスダストがアレルゲンとして最も多いとされています。この他花粉や食物もアレルゲンとなります。
非アレルギー性
風邪やインフルエンザ・コロナウイルス等の呼吸器感染症や、タバコの煙、過労やストレスなどが原因となると言われていますが、原因が特定できないこともあると言われています。
喘息の治療
喘息治療の目標は、発作を予防し、気道を長期間安定した状態に保つことです。
発作を繰り返すと、気道のリモデリングを進行し難治化していきます。リモデリング自体は治療ができませんので、このリモデリングを防ぐことが重要となります。
喘息の治療では薬物療法が行われます。薬物療法では、気道の炎症をコントロールして予防する吸入ステロイド薬等の「コントローラー」、発作を鎮める短期間作用型β2刺激薬、経口ステロイド薬等の「リリーバー」が使われます。喘息が改善し、症状が出なくなっても「コントローラー」を継続していくことが重要とされています。
咳喘息とは
咳が慢性的に続く病気には、喘息の他に「咳喘息」があります。
特徴的な症状
- 数週間から数か月以上と長期間続く、痰が絡まない「乾いた咳」
- 喘息と似ている点もあるが、大きく異なるのは、「喘鳴」を伴わず呼吸の苦しさもほとんど無い
咳喘息は気管の炎症によって気道が過敏になることが原因となります。喘息と同様、アレルギーや風邪などの感染症、過労やストレスなどがきっかけとなり発症すると言われています。
医療機関での治療が必要な病気ですので、3週間以上続く乾いた咳がある場合は、呼吸器内科やかかりつけ医を受診しましょう。
咳喘息の治療について
- 市販薬などの一般的な咳止めではあまり効果がないことが多く、喘息の治療で使われる気管支拡張薬や炎症を抑える吸入ステロイド薬が有効と言われている。
- 適切な治療を行うと1週間程度で症状が軽快し数週間から数か月程度で症状がほとんど気にならない程度になる。
- 症状が無くなったからと自己判断で治療を中断してしまうと再発する可能性があるので注意が必要。
- 咳が治まり、検査を行って問題ない場合は治療を一旦終了することができるが、治療終了後再び症状が出てくる場合は、なるべく早く受診し治療を再開することが重要。
- 咳喘息はその30~40%程度が喘息へと移行すると言われているが、適切な治療を行っていくことで喘息への移行が予防できると言われている。早い段階から、医師の指示通りしっかりと治療を受けていくことが重要。