頭痛について
日本にはおよそ4,000万人もの慢性頭痛患者がいるそうです。
頭痛により仕事や日常生活に支障が出るケースも多いと言われていますが、特に症状が重い片頭痛でも、受診せずに市販薬のみでの対応している方も多く、症状がうまくコントロールできていないケースもあるようです。
また、頭痛の中には命にかかわるタイプも存在しますので、頭痛の原因に応じた適切な対応が必要になります。今回は頭痛についてお伝えします。
頭痛とは
頭痛とは頭部の一部あるいは全体の痛みの総称です。後頭部と首の境界、眼の奥の痛みも頭痛とされています。
頭痛は大きく分けると、主に慢性的に症状が起こる「一次性頭痛」と、時に命の危険性がある「二次性頭痛」の2つに分類されます。
命にかかわることのある二次性頭痛
二次性頭痛は、脳や他の疾患が原因となって起こる頭痛のことです。
急激に発症した、これまでに経験がないひどい頭痛や、手足のしびれや麻痺が伴う頭痛、発熱や項部硬直伴う頭痛の場合、くも膜下出血や脳炎、髄膜炎など生命を脅かすタイプの頭痛の場合がありますので、脳神経外科または脳神経内科へ至急受診が必要です。
また、頭痛が数週間のうちに悪化してくるような場合や、50歳以降に初めて発症した頭痛の場合は、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの病気の可能性もありますので、症状が続く場合は早めに受診するようにしましょう。
慢性的に起こる一次性頭痛
数年以上前から同じような頭痛が繰り返されている場合、多くは命の危険性はない慢性頭痛のことがほとんどです。この「症状そのものが病気である頭痛」が一次性頭痛です。一次性頭痛の中で最も多くみられるのが緊張型頭痛です。
この他、日常生活に支障が出るほどの痛みが起こる片頭痛や群発頭痛も一次性頭痛であり、これら緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛は「3大慢性頭痛」と呼ばれています。
緊張型頭痛
緊張型頭痛では持続性の「しめつけられるような痛み」が起こるのが特徴で、歩行などの日常的動作により痛みが増すことはなく、多くは両側性・非拍動性の頭痛です。
頭痛の程度は比較的軽く、寝込んでしまうまで症状がひどくなることはほとんどありません。緊張型頭痛の原因は、うつむいた悪い姿勢での仕事やストレスなどよって、首や頭の後ろの筋肉の緊張状態が続き、頭の筋肉が「こる」ことにより起こります。
緊張型頭痛の場合、症状が軽く日常生活に支障が出ない場合は治療の必要はありません。ストレスの軽減や、ストレッチなどの理学療法を行いましょう。
痛みによって日常生活に影響がある場合は、鎮痛剤等の薬物療法が効果的です。
片頭痛
この頭痛は男性よりも女性の方に多く、若い年代(40歳代以下)から発症すると言われています。
片頭痛の原因は、脳内血管の拡張と炎症が原因という説が有力です。片頭痛といっても頭の片側だけ痛むのではなく、頭の両側に痛みが起こることもあります。
数時間~3日程度続くズキンズキンと脈打つような痛みで、歩行などの日常動作で痛みが強くなるのが特徴で、吐き気や嘔吐、光や音、匂いに過敏になるといった症状も伴うことがあります。
痛みの程度は比較的重く、日常生活に支障が出るケースも多いです。発作は緊張から開放され血管が拡張した時(週末や休日)に起こりやすく、雑踏、炎天下、高温下、発熱、運動、飲酒などによっても誘発されます。
片頭痛の治療では主に薬物療法が行われます。片頭痛の発作には一般的な頭痛薬が効きにくく、鎮痛剤以外の薬(血管拡張を抑えるトリプタン系薬剤等)が用いられます。このトリプタン系薬剤は片頭痛の50~70%に有効だと言われています。
発作の頻度が高い場合(月10回以上服薬している場合)は片頭痛「予防薬」を用います。
群発頭痛
男性に多い頭痛で、夜就寝後1~1時間半程くらいに、片側の目の奥、前額部あたりに突き刺すような激烈な痛みが起こるのが特徴です。
痛みの発作は1~2時間程度と短いのですが、2~3週間の間は連続して毎晩起こる(群発する)という特徴があります。
群発頭痛では鎮痛剤や片頭痛の特効薬でも効果が少なく、専門医のもと群発頭痛に合わせた治療を受ける必要があります。
頭痛で気をつけたいこと
月に10回以上(週に2回以上)鎮痛剤を服用する場合、鎮痛剤の飲みすぎによる「薬物乱用頭痛」の可能性があります。薬剤乱用頭痛は薬をやめることで改善すると言われています。
予防薬の服用で、頭痛発作を抑えることができますので、鎮痛剤を沢山飲んでも改善しない頭痛の場合は、専門医に相談いただくと良いでしょう。
症状にあった治療を
生活に支障が出る頭痛は、受診し症状にあった治療を受けましょう。
頭痛は適切な治療を行えば、痛みが軽減され、生活の質も大きく改善する可能性があります。原因に応じた適切な治療を受けるためにも、頭痛専門外来や脳神経内科等の専門医を受診しましょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子