高尿酸血症について

食生活の欧米化に伴って、「高尿酸血症」の患者数は年々増加していると言われています。
夏は発汗などにより体の水分が奪われることで、尿酸値の血中濃度が上がりやすくなり、高尿酸血症が原因で起こる「痛風」も、夏の発生数が多いと言われています。
今回は、高尿酸血症についてお伝えします。

尿酸値と高尿酸血症

尿酸とは

  • 細胞の新陳代謝などに伴い体内で作られる老廃物。
  • 食事により体外からも持ち込まれる。(体内合成が約8割、食事由来が2割程度)
  • 不要となった尿酸は主に腎臓から尿として排出される。
  • 通常血液中に溶けて存在する。

高尿酸血症

  • 血中濃度が高くなると血液中に尿酸が溶けきれなくなり結晶化し、痛風等の病気を引き起す。
  • 尿酸の飽和量は約7mg/㎗で、この7mg/㎗を超えたものが高尿酸血症と定義されている。
  • 発症には男女差あり。(日本での有病率は男性が約20%、女性が約5%)
  • 30歳以上男性では約30%が発症、女性は閉経後にやや増加すると言われている。

高尿酸血症の原因(2つの原因が、合併するケースもある)

  1. 体内での尿酸産生が過剰になる・・・アルコール摂取やプリン体を多く含む食品の摂取。遺伝的要因等
  2. うまく体外に排泄できない・・・腎臓疾患や脱水、インスリン抵抗性(高インスリン血症)

高尿酸血症の影響

尿酸値が高い状態が継続すると・・・

  1. 結晶化した尿酸が関節などに蓄積し、そこで炎症が起こると激痛を伴う痛風発作(※)が起る。
  2. 尿路結石や慢性腎臓病の原因になる。
  3. メタボリックシンドローム(内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態)を合併することが多い。

(※)痛風発作:主に足の親指の関節に急に激痛が起こります。痛みは24時間以内にピークを迎え、10日程度で自然に軽快します。

高尿酸血症の治療

薬物療法と生活習慣での対応が基本となります。無症状であっても数値が高い場合は正常範囲を目指した対応が大切です。

薬物療法

尿酸値が9.0mg/dl以上の場合や、痛風の発作を繰り返す場合などは、薬物療法の適応となります。
高尿酸血症のタイプに応じて、尿酸産生抑制薬や尿酸排出促進薬が使われます。

痛風発作が起きた場合は、尿酸値を下げる薬は使わず、急性炎症に対する非ステロイド性抗炎症薬等を用い、症状が改善した後、尿酸値を下げる薬の使用を検討します。
痛風発作が治まっても、高尿酸血症の治療を行わないと血液中の尿酸値は高いままですので、再発作を繰り返す可能性があります。このためしっかりと治療を続けていくことが大切です。

生活習慣での対応

減量
肥満がある場合や、適正体重でも体重増加や内臓脂肪の蓄積がある場合は、減量が効果的です。
まずは体重の2~3%の減量を目指しましょう。

運動
運動を行う場合はウォーキング程度の軽い有酸素運動が効果的です。
負荷の高い運動は尿酸値を逆に上昇させるため注意が必要です。

お酒
尿酸のもととなるプリン体が多く含まれるビールが注目されがちですが、アルコール自体が尿酸値の産生を高め、排出を抑制しますので、「アルコール全般を控える」必要があります。
1日の適正飲酒量(缶ビール1本、日本酒1合、焼酎0.6合、ウィスキーダブル1杯)の中でお酒を楽しみましょう。

水分摂取
尿酸は主に尿から体外に排出されることから、水分摂取をしっかり行い、尿量を確保することが大切です。果糖を含む清涼飲料水は尿酸を上昇させますので、無糖のお茶や水を摂取しましょう。

食事
魚介類やビールなどプリン体の多い食品の摂りすぎに注意し、適正エネルギー内でバランスの良い食事をとりましょう。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子