育児・介護休業法改正について

昨年6月に育児・介護休業法が改正され、今年4月から段階的施行がはじまっています。

今回の改正では、男性の育児休業取得を促し、男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度が創設されるとともに、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備や育児休業制度についての個別周知・意向確認の措置などが義務化されます。

今回は、育児・介護休業法改正のポイントについてお伝えします。

改正の背景

急速に少子高齢化が進む中、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立する社会を実現するためには、家事育児への男性の積極的な参加を実現していくことが不可欠です。

しかし、男性の育児休暇取得率は、次第に増加しつつあるものの、令和2年の調査では12.65%と、女性の81.6%と比較してまだまだ大きな差があるのが現状です。

このような状況を受け、今回の法改正では、職場環境の整備を進め、男性の育児休業取得をこれまで以上に促進することを目指しています。

改正のポイント

改正育児・介護休業法の施行は、令和4年4月1日、10月1日、令和5年4月1日という3段階に分けて行われます。
今年10月1日からは、今回の改正で新たに創設された「産後パパ育休」がスタートします。

令和4年4月1日施行の内容

4月1日の改正では、育児休業に関して個別の周知と意向確認が必要となりました。また、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が義務化されています。
具体的内容は以下の通りです。

① 妊娠・出産等を申し出た労働者への個別周知・意向確認
本人又は配偶者の妊娠・出産等の申出をした労働者に対し、事業主は育児休業制度に関する事項(制度の内容や休業の申し出先、育児休業給付に関すること、休業期間に負担すべき社会保険料の取扱い)の周知と、休業取得の意向確認を、個別に実施する必要があります。

② 育児休業を取得しやすい雇用環境整備
育児休業と出生時育児休業(産後パパ育休)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は
・休業に関する研修の実施
・相談体制の整備(相談窓口の設置)
・自社の労働者の休業取得事例収集と提供
・休業制度と休業取得促進に関する方針の周知
といった措置を行う必要があります。(複数の措置を行うことが望ましいとされています。)
また、措置を講じる際は、希望するとおりの期間の休業を申出・取得できるように配慮しなければなりません。

また、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件について、期間を定めて雇用される労働者(有期雇用労働者)の育児休業と介護休業の取得要件が緩和されます。
「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件が撤廃され、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件のみとなりました。

令和4年10月1日施行の内容

10月1日からは、出産時育児休業「産後パパ育休」制度が始まります。この産後パパ育休は、育児休業とは別に取得することが出来ます。

従来の育児休業と同様、労働者が容易に取得できるように、事業所にあらかじめ制度を導入し、就業規則の整備等必要な措置を講じる必要があります。

出生時育児休業「産後パパ育休」

対象期間は子の出生後8週間以内に4週間まで、申し出は原則2週間前まで、2回までの分割取得が可能です。
労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することも可能です。

また、育児休業制度も改正されます。改正の内容は以下の通りです。

①1歳までの育児休業は2回まで分割して取得できるようになります。
②特に必要と認められる場合の1歳以降の育児休業については、休業開始日が柔軟化されます。(期間途中で配偶者と交代して育児休業を開始可能に)また特別な事情がある場合に限り再取得が可能となります。

令和5年4月1日施行の内容

令和5年4月1日からは、育児休業取得状況の公表が義務化されます。
従業員数が1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。
公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。

詳しくは、厚生労働省ホームページ「育児・介護休業法について」をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子