糖尿病予備軍ついて
11月14日は世界糖尿病デーです。
厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」では、
・「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000 万人
・「糖尿病の可能性を否定できない者」も約1,000 万人
と推計されており、大変多くの糖尿病患者、そして糖尿病予備群の方がいることが分かっています。
今回は糖尿病予備群についてお伝え致します。
糖尿病とは
血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪に取り込ませる作用がある「インスリン」の作用が十分でない(インスリンの分泌不足と、インスリンの効きの低下)ために、ブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態です。
成因によって「1型糖尿病」「2型糖尿病」などに分類されますが、糖尿病の約9割が遺伝的な要因に生活習慣等が影響して起こる「2型糖尿病」だと言われています。
※2型糖尿病:ゆっくり気が付かないうちに発症し、時間をかけて進行していく。
自覚症状
初期段階 … ほとんど無
糖尿病が進み高血糖状態が続くと … 口渇、多飲・多尿、体重減少、体のだるさが出る。
⇒ 治療をしないと … 血管を傷つけ、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞などの心・脳血管疾患、腎症や網膜症、神経症などの合併症を引き起こす。
糖尿病予備軍(境界型糖尿病)とは
糖尿病予備群(境界型糖尿病)とは、まだ糖尿病と診断されるほど血糖値が高くないものの、正常よりは高くなってきた状態のことをいいます。
健康診断などで検査血糖値
空腹時血糖値が110~125mg/dLの方、HbA1cが6.0~6.4%の方
→ 糖尿病の疑いが否定できない
空腹時血糖値が100~109mg/dLの方、HbA1cが5.6~5.9%の方
→ 将来糖尿病を発症するリスクが高い
「要観察」等の判定であっても、糖代謝の項目が上記の方は将来糖尿病を発症するリスクがあるので注意が必要です。
糖尿病予備軍の段階でも体へのダメージが起きていると言われています。
血糖が正常よりも高い状態が続くことで、血管の老化である動脈硬化を進め、心臓や脳血管疾患のリスクを上昇させます。
境界型の方は正常型と比較すると、2.2倍も心筋梗塞や脳卒中等の心・脳血管疾患による死亡が多いといわれています。
予備軍の方に勧められる検査
「75g経口ブドウ糖負荷試験(75g OGTT)」
糖代謝の状態が悪くなってくると、食後血糖が下がらない状態(食後高血糖)が起こります。
この食後高血糖が起こっているかを確認できる検査が「75g経口ブドウ糖負荷試験(75g OGTT)」です。
※「糖尿病の疑いが否定できない」方や、「将来糖尿病を発症するリスクが高い」グループの方で、高血圧・脂質異常症・肥満などがある方に検査をお勧めします。
検査方法
①空腹時(食後10時間以上)に75gのブドウ糖を飲む。
②30分・60分・90分・120分後に採血をし、血糖値の変化を測定します。
③血糖と同時にインスリンも測定し、膵臓からのインスリン分泌低下が起こっているのか、インスリンの作用不足が起こっているのかを確認。
判定方法
HbA1c 6.5%未満で、
①空腹時血糖値が110~125mg/dL
②75g経口ブドウ糖負荷後2時間の血糖値が140~99mg/dLのいずれかをみたしている場合は「境界型」と判定
糖尿病の発症を予防するために
糖尿病予備軍が疑われる方は、一度糖尿病内科へご相談いただくと良いでしょう。
また予備群の方でも、生活習慣の改善により糖尿病の発症のリスクを減らすことができます。
以下の生活習慣のポイントを実践しましょう。
糖尿病予防のための生活習慣のポイント
□ 腹八分目にして食べ過ぎに注意する
□ 野菜を積極的に摂取する
□ 朝食は抜かず3食規則正しく食べる
□ 食べる順番を工夫する
(野菜等の副菜→肉や魚料理等の主菜→ご飯等の主食の順で食べる)
□ 散歩などの運動を少しずつでも始める
□ 生活の中でなるべく体を動かすようにする(階段を使う等)
□ ストレスと上手につきあう
□ 禁煙する
□ 肥満がある方、若いころから体重が増加した方は、体重を5~10%減らす
(1か月1~2kg減ペースを目安)
□ お酒は適正飲酒量内で楽しむ
(ビール500ml、日本酒1合、缶酎ハイ(7%)350 ml、ウィスキーダブル1杯以内)
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子