乳がんについて
10月は乳がん啓発月間です。
乳がんは女性が患うがんの中で最も多いがんとなっていて、患者数も年々増加しています。2019年のデータでは9人に1人が生涯に乳がんに罹ると推定されています。
一方で、近年では乳がんの治療についての研究も進んでおり、早期の段階で適切な治療を行なえば、9割は治るがんであるとも言われています。
乳がんとは
乳がんは乳腺の組織にできるがんです。
乳房には「小葉」という母乳を作る組織と、作られた母乳を乳頭まで運ぶ「乳管」がありますが、乳がんの約90%はこの「乳管」から発生すると言われています。「小葉」で発生するがんは少なく5~10%程度です。
乳がんは進行すると、がん細胞が周囲の組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れにのって転移します。転移の起こりやすい場所は、乳房近くのリンパ節、骨、肝臓、肺、脳などです。
乳がんは女性の病気と思われがちですが、まれに男性に発生することがあります。
乳がんの好発年齢は45~49 歳と60~64歳です。
発症が増えてくるのが30歳代後半以降と言われており、比較的若い年代でも罹るがんと言えます。
最新の2021年のデータでは、女性全体の部位別がん死亡数では4位になりますが、年代別に見ると30歳から64歳まででは1位となっています。
乳がんのリスク
乳がんの7~8割に女性ホルモンであるエストロゲンが関係していると言われています。
乳がんのリスク要因
エストロゲンが関係している
- エストロゲンの分泌が高くなる月経の回数が多い人
(初経年齢が低い・閉経年齢が高い・出産経験がない・初産年齢が高い・授乳経験がない方等) - エストロゲンを含む経口避妊薬の使用
- 閉経後の長期のホルモン療法
その他の要因
- 肥満や運動不足、飲酒、喫煙等といった生活習慣
- 遺伝的な要因
(一親等で乳がんを発症した血縁者がいる場合、乳がんのリスクが高い)
乳がん検診を受けましょう
現在、対策型検診(対象集団におけるがん死亡率の減少を目的とした検診)として自治体で行われている乳がん検診は、対象が40歳以上の症状のない女性で、原則マンモグラフィ単独法による検診です。
推奨の受診間隔は2年に一度とされ、検診費用も公費負担(一部自己負担)で費用面でも負担が少なく受診が可能です。
自治体以外では、職場での健診や人間ドック等で健診を受けることが出来ます。
費用は職場や所属する健保組合によって異なり、人間ドックの場合は、職場や健保組合からの補助がなければ自己負担となります。
※40歳代以降で高密度乳腺の方はマンモグラフィに加え乳腺エコー検査を併用して受けて頂くと良いと言われています。検査を併用することで乳がんの発見確率が上がると言われています。
また、乳がん検診の結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けるようにしましょう。
乳がんの予防
乳がんを予防するためには、飲酒を控え、肥満を予防し、適度な運動を行うことが推奨されています。
また乳がんの早期発見のために、以下4項目のブレスト・アウェアネス(※)「乳房を意識する生活習慣」も推奨されています。
- ご自分の乳房の状態を知る
(月に1回は、自分の乳房にしこりや変形がないかどうかをチェックする) - 乳房の変化に気を付ける
(乳房に以前より硬いところや、しこり、乳頭や乳輪の皮膚のただれ、へこみ、くぼみ、ひきつれなどがないか、乳頭から分泌液が出ていないかどうかをチェックする) - 変化に気付いたらすぐ医師へ相談する
- 40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
(※)「ブレストアウェアネス」乳がん検診の適切な情報提供に関する研究より
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子