逆流性食道炎ついて
年末年始を迎えるこの時期、コロナでの自粛も終わり忘年会や新年会等で飲食の機会が増えると思います。
このような中で気をつけたいのが逆流性食道炎です。
逆流性食道炎は、軽症であれば炎症も軽度で自然に軽快すると言われていますが、炎症が長期間継続し重症となると、食道がんのリスクとなるバレット食道という状態になることもあると言われています。
逆流性食道炎とは
胃の内容物が食道に戻ってくる症状は胃食道逆流症と言われています。胃の内容物が胃酸と共に逆流してくるため、胸やけを感じたり、酸っぱいものがこみあげてくる感覚が起こったりします。
胃食道逆流症は、
・食道粘膜を傷つけ炎症を起こす「逆流性食道炎」
・逆流の症状のみがある「非びらん性逆流症」
に分類されます。
胃には胃酸に耐えられる粘膜がありますが、食道の粘膜は胃の様に酸に強くはないため、胃から逆流してくる胃酸に繰り返しさらされていると、食道が傷つき炎症を起こすようなります。
この食道に炎症が起こった状態が逆流性食道炎です。有病率は、日本では約10%程度と言われています。
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎で一番多い症状は胸やけと呑酸(胃酸等の内容物が口腔内や下咽頭まで上がってくる症状)です。胸やけの強さは、重症でも軽症でもあまり変わらないと言われています。
逆流性食道炎の胸やけ・胸の痛みの症状は、狭心症の様な心臓が原因の痛みにも似ており、非心臓性胸痛の一つとなっています。
この他、胃もたれや吐気、のどの不快感が起こったり、喉頭炎、咳嗽、喘息、歯の酸蝕症とも関連があるとされています。
また、重症の逆流性食道炎では、食道粘膜が胃粘膜と置き換わるバレット食道となり、食道がんのリスクを高めます。
逆流性食道炎になりやすい生活習慣と対応
逆流性食道炎に対しては、逆流性食道炎になりやすい生活習慣を見直すことが効果的です。
- 食べ過ぎ、早食いの習慣があると、胃内圧の上昇により逆流が起こりやすくなりますので注意しましょう。
- ご自身が食べた際に逆流を起こしやすい食品がある場合は、その食品をなるべく控えるにしましょう。
- 高脂肪食、アルコール、炭酸飲料を摂取することを控えましょう。
高脂肪食は、食道と胃の境界にあり胃からの逆流を防ぐ働きがある下部食道括約筋が緩む原因となります。
アルコールも下部食道括約筋を緩めたり、食道の蠕動運動を低下させて胃酸の逆流を引き起こします。 - 食後は胃酸がもっとも多く分泌されるため、食後すぐに寝る習慣があると逆流が起こりやすくなります。食後2〜3時間はなるべく横にならないようにしましょう。
帰宅が遅く、夕食後にすぐ寝ることが多い方は、頭を高くして寝ましょう。(逆流を予防できます。) - 肥満体形の人、前かがみ姿勢をとる仕事をする人、猫背の人は、胃の圧迫や腹圧が上昇し逆流が起こりやすくなります。胃の圧迫を防ぐために、肥満の方は体重を減らすようにし、おなか回りをベルトや衣類で締め付け過ぎないようにしましょう。
また、長時間の前かがみの姿勢はできるだけ避けるようにしましょう。 - 喫煙は逆流を起こしやすくしますので控えましょう。
逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎の症状が疑われた場合は、消化器内科を受診しましょう。
消化器内科では内視鏡検査で食道等の状態を確認し、逆流性食道炎の診断を行います。
逆流性食道炎と診断された場合は、内服による治療に加え、逆流性食道炎を引き起こしやすい生活習慣の見直しを行います。内服治療では、胃酸を弱くすることが必要なため、主に胃酸の分泌を抑える薬(主にPPI:プロトンポンプ阻害薬やP-CAB:カリウムイオン競合型アシッドブロッカ―)での治療が行われます。
効果が不十分な場合には、胃の運動を改善する薬や、酸を中和する制酸薬を併用することがあります。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子