外出自粛生活を乗り越えるために(からだの健康編)
前回のウエルネスレポートでは外出自粛生活における「メンタルヘルス(こころの健康)」についてお伝えしましたが、今回は「からだの健康」についてお伝えしたいと思います。
外出自粛生活に伴う、身体活動量低下の影響
外出の自粛が行われる以前は、通勤やオフィス内での移動、食事のための外出など、「歩く」機会がそれなりにあったと思います。しかし外出自粛生活では、「原則家で過ごすこと」が求められますので、外出の機会が大きく減り、身体活動量も低下している方が多いのではないでしょうか。
身体活動量の低下は、筋力低下・体重増加をもたらし、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性があります。外出の制限が長く続けば続くほど体力も低下する可能性があり、外出自粛が解かれた際に「通勤するだけでも疲れる」という状態にもなりかねません。このため活動量を少しでもUPしていくことが大切です。
身体活動量を高める生活のポイント
身体活動量は、少し意識するだけでもUPすることができます。活動量をUPする方法をいくつかご紹介しますので、出来そうなことから始めてみてください。
通勤をしていた時間帯にウォーキングに出かけましょう
朝と夕、いつもなら通勤のため歩いている方が多いと思います。10~30分程度で良いので、その時間帯にウォーキングに出かけるのはいかがでしょうか?人通りが少ない場所(他の人との距離が2m以上確保できる場所)を選び歩くことは、外出自粛の中でも問題はないと思われます。
なお、生活習慣病予防のためには、ゆっくり歩行よりも、できれば早歩きがおすすめです。(少し息が弾むくらいのペース)朝のウォーキングでは朝の光を浴びることができ、体内時計のリズム合わせにも効果的です。夕方のウォーキングは、夜の睡眠の質を高める効果も期待できます。
「座りっぱなし」にならないよう、こまめに動くようにしましょう
今、「座りっぱなし」の健康への悪影響が分かってきています。在宅勤務中でも30分に一度位を目安に、「座位の中断」を意識いただくと良いでしょう。立ち上がって軽くストレッチ・筋トレをしてみたり、お茶を飲む際は別室に行く、その場で足踏みするなど、椅子から立ち上がる時間を作ると良いでしょう。
またラジオ体操もお勧めです。ラジオ体操は早歩きと同じくらいの運動強度がある有酸素運動です。ストレッチの要素も含まれる運動ですので、デスクワークによるからだの凝りの緩和が期待できます。所要時間はラジオ体操第一・第二共に所要時間は3分程度ですので、短時間で実施可能です。
週に2回以上の筋肉トレーニングも取り入れましょう
活動量が減ることで、気が付かないうちに筋肉量も減ってしまいます。筋力低下は基礎代謝の低下にもつながります。このため筋肉トレーニングも生活に取り入れて頂くことがお勧めです。
筋肉量は週2回以上の実施で増加し、実施量・頻度が増すごとにその運動効果も高まるそうです。ただ筋トレは継続が難しいので、実施する曜日やタイミング(入浴の前に実施するなど)を決めて習慣的に実施いただくと良いでしょう。
体の中でも特に大きな筋肉のある「太もも周辺」を鍛える「スクワット」がお勧めです。「10回を1セットで3セット」位から始め、少しずつセット数や筋トレの種類を増やしながら行うと無理なく続けることができると思います。
なお、効果的に筋力UPを目指す場合、夜の時間帯に実施いただくとよいと言われています。
空き時間には家事を積極的に行いましょう
いつもは忙しく手を付けられなかった部分の掃除など、在宅時間の長い今の時期に行ってみてはいかがでしょうか?
風呂掃除や掃除機かけ、床や窓の拭き掃除、庭やベランダの掃除など、座ったり寝転んでテレビを見ているときと比べ2倍以上の運動強度があり、立派な身体活動になりますのでお勧めです。
食生活にもご注意を
在宅中心の生活では、生活のリズムが変わり、食事のリズムも普段と変わっているかもしれません。普段と生活時間帯は変わっているかもしれませんが、極力3食規則正しく食事をとるようにしていただくことが大切です。
特に朝食抜きは、肥満や生活習慣病のリスクを上昇させますので、軽くても良いのでとるようにしましょう。遅い夕食もやはり肥満・生活習慣病のリスクを高めますので、可能であれば夜8時前くらいには済ませるようにすると良いでしょう。
また、間食が増えてはいないでしょうか?間食は日中の時間帯、息抜きのため、決めた量を少量摂るのであればよいと思いますが、一日中家で過ごしていると、ついダラダラと食べ続けてしまったりすることもあるかもしれません。このような間食の取り方は、エネルギー摂取量が増え体重増加につながりますのでご注意いただくと良いでしょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子