目の健康について
10月10日は「目の愛護デー」です。
日本眼科啓発会議が2021年に40歳以上を対象にして実施した調査では、「現在、健康面で不自由を感じていること」について、歯や耳(聴覚)、足腰(歩行や動作)、物忘れなど7項目を挙げて聞いたところ、「目(視覚)に関すること」が最も高く、47.7%と約半数が目の不自由さを挙げていました。
しかし「普段から健康維持・病気予防に努めていること」に関する質問では、「目(視覚)に関すること」が26.1%と、目の健康に対し何らかの対応をされている人はあまり多くないことが分かりました。
人が得る情報の8割は視覚から得られると言われています。今回は目の健康についてお伝え致します。
中高年から増える目の症状や病気
老眼による見えにくさだけでなく、40~50歳代以上になると、緑内障や加齢黄斑変性などの病気が増えてきます。
老眼
目のピント合わせ機能を果たしている水晶体が加齢により硬くなり、近くのものにピントを合わせにくくなる状態が老眼です。
症状としては、近くの細かい字が読みづらい、また近くから遠くへ、遠くから近くへ視線を移動する際、ピント合わせに時間がかかるようになります。
老眼鏡などを利用せず、老眼で見えにくい状態のまま放置すると、眼精疲労を起こし、頭痛や肩こりなど目以外の身体症状につながることがあります。
緑内障
眼圧の上昇などによって、眼底にある視神経が障害され、視野(見える範囲)が次第に狭くなってくる病気です。
緑内障の多くは慢性の緑内障であり、病気がかなり進行するまで自覚症状が現れないと言われています。
急激に眼圧が上がって発症する閉塞隅角緑内障は、治療が遅れると短期間で失明に至ることもあるため、重い眼痛や目の充血、目のかすみ、頭痛などの症状がある場合は、速やかに専門医の受診が必要です。
加齢黄斑変性
老化によって、黄斑部網膜の老廃物処理能力が衰え、黄斑部に老廃物などが沈着し、網膜の細胞や組織に変異を起こす病気です。
初期から自覚症状がみられることが多く、ものが歪んで見えたり、中心が見づらい、中心部がかすむ等の症状がみられます。
緑内障や加齢黄斑変性は中高年の失明原因ともなっており、早期発見・早期治療が非常に重要です。
目と生活習慣病
糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、目の健康に大きな影響を与えています。
特に糖尿病の3大合併症の一つである糖尿病性網膜症は失明原因の第2位となっており、糖尿病と診断された場合は、糖尿病の治療とあわせ、必ず定期的に眼科を受診し、目の状態の観察や必要に応じた治療を行う必要があります。
生活習慣病をお持ちの方は、目の自覚症状がない場合でも積極的に目の健診を受けるようにしましょう。
目の健診を受けましょう
目の病気は、放置すると失明に至るものもありますので、早期発見、早期治療が重要です。
特に自覚症状がない場合でも40歳を過ぎたら定期健診を受け、目の状態をチェックするようにしましょう。
職場の定期健康診断でも、視力検査に加え眼底検査が行われることがあります。眼底検査で、緑内障や加齢黄斑変性の可能性がチェックできます。この眼底検査で目の状態をチェックいただいても良いでしょう。
職場の健診で視力検査しか受けていない場合や、何か自覚症状がある場合、以下の「アイフレイル」チェックリストで2項目以上該当項目がある場合は、眼科専門医を受診しましょう。
目のセルフチェック 「アイフレイル」チェックリスト
アイフレイルとは、加齢に伴う目の機能低下のことです。
- 目が疲れやすくなった
- 夕方になると見えにくくなる
- 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
- 食事の時にテーブルを汚すことがある
- 眼鏡をかけても良く見えないと感じることが多くなった
- まぶしく感じやすい
- まばたきしないとはっきり見えないことがある
- まっすぐな線が波打って見えることがある
- 段差や階段が危ないと感じたことがある
- 信号や道路標識を見落としたことがある
アイフレイルチェックリスト(日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイトより
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子