インフルエンザについて
新型コロナウイルス感染症の流行以降、インフルエンザ患者報告数は激減しており、インフルエンザの流行はみられていません。
しかし、南半球のインフルエンザ流行状況を見ると、2022年4月後半から報告が増加しており、例年を超えるレベルの患者数です。この冬は日本でもインフルエンザの流行が懸念されています。
今回はインフルエンザについてお伝え致します。
2022-2023シーズンのインフルエンザ流行予測
南半球に位置するオーストラリアの今年の流行状況を見てみると、サブタイプが判明したもののうち、大部分の8割を占めていたのが ‘A(H3N2)香港型’ だったと言われています。※残り2割が ‘A(H1N1)’
北半球の昨シーズン(2021-2022年)の流行でも、欧米では主としてA香港型が見られており、中国も今年に入ってA香港型が増加しているそうです。
これらの状況から、日本でも今シーズンはA香港型の流行が主体となるのではないかとみられています。
A香港型が流行すると、死亡や入院が増加すると言われていますので注意が必要です。
インフルエンザワクチンについて
A香港型を含む4種類(A型2種類、B型2種類)のウイルス型が含まれていて、毎年流行を予測し、ワクチン株の選定が行われています。一定の発症予防効果と重症化予防効果があると言われています。
国内の研究では、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については、34~55%の発病を予防し、82%の死亡を予防する効果があったそうです。
今年は新型コロナとの同時流行の懸念もあるため、日本感染症学会からはインフルエンザワクチンの積極的な接種が推奨されています。
南半球のオーストラリアでは、例年よりも数か月早くインフルエンザの流行が確認されており、日本でもいつもより早い時期から流行が始まる可能性があります。
このため、特に重症化のリスクが高い65歳以上の高齢者や小児、妊婦、基礎疾患がある方は早期の接種が勧められています。(今年は新型コロナワクチンと同時摂取も可能です。)
なお、今年のインフルエンザワクチンの供給量は過去最大量の見込みです。
インフルエンザが疑われたら ~新型コロナとの同時流行の際の対応~
この冬はインフルエンザの流行に加え、新型コロナとの同時流行が懸念されています。
国は新型コロナとインフルエンザの同時流行へ備えた対応として、発熱外来に患者が殺到する事態を避け、リスクの高い人が確実に受診できるようにするように、以下の様な方針を打ち出しています。
しかし上記方針に対し、日本感染症学会は「この冬のCOVID-19とインフルエンザ同時流行の際の注意点」の中で、各医療機関に対し「今年も例年通りのインフルエンザ診療を推奨」しています。
「インフルエンザを含めた急性呼吸器感染症のオンライン診療については、診断が難しいこと、治療が必要な患者を見逃す可能性があることから、緊急時に限定すべき」とし、「自宅療養・オンライン診療を受ける可能性のある基礎疾患のない青少年・壮年の方も、必要があれば対面診療に切り替えることを考慮することが大切」との見解を示しており、国の方針に対し慎重な姿勢を示しています。
今後の対応は、感染状況等に応じて変わってくる可能性も考えられますので、国や各自治体からの最新情報をご確認ください。
インフルエンザ予防のために
新型コロナへの感染対策同様、マスクの着用、換気、ワクチンの接種、流行時は人が多い場面を避けるなどの基本的な感染対策を行いましょう。
また、免疫力を保ち感染を防ぐにためにも、規則正しい生活習慣や十分な睡眠、適度な休息、バランスの取れた食事を摂ること等も心がけましょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子