夏風邪に気をつけましょう
このところ冬季に流行しやすいインフルエンザの集団感染の話題がニュースになっていますが、これからの時期は夏風邪にも注意が必要です。
風邪の原因は8割~9割がウイルスによるものと言われており、症状を引き起こすウイルスは200種類以上存在しています。
多くの風邪ウイルスは冬の寒く乾燥した環境を好むために、一般に冬に風邪の流行が起こりやすいのですが、中には高温多湿を好むウイルスが存在し、夏風邪を引き起こします。
夏風邪とは
夏風邪の原因となるウイルスの代表は、エンテロウイルスやアデノウイルス。夏風邪の流行の主体は子どもたちです。
●エンテロウイルス
<ウイルスの特徴>
- 腸管で増殖するウイルスの総称で、67種類のウイルスが存在する。
- 毎年流行するウイルス型が異なる。
- コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルスなどの多数の株が含まれ、同じ型のエンテロウイルスが異なる症状を起こし、逆に異なるエンテロウイルスが同じ症状を起こすことがあるため、症状だけでは原因ウイルスの特定をすることが難しい。
<主な症状>
発熱、頭痛、咽頭痛等の上気道炎といった一般的な風邪症状の他、胃腸炎、ヘルパンギーナ、手足口病、ウイルス性発疹症、無菌性髄膜炎など多様な症状を引き起こす。
●アデノウイルス
<ウイルスの特徴>
57の血清型とA~Gの7つの種が存在し、様々な症状を引き起こす。
<主な症状>
エンテロウイルス同様一般的な風邪症状に加え、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎、胃腸炎、時に重症肺炎を引き起こす。
代表的な夏風邪の症状
ヘルパンギーナ
38℃以上の発熱や、口の中や咽頭に痛みを伴う水疱性の発疹や潰瘍ができる。
手足口病
口の中や、手足などに水疱性の発疹ができる。発熱は約3分の1程度で高熱が出ることは少ない。
咽頭結膜(プール熱)
強い結膜炎症状、4~5日続く39~40℃の高熱、咽頭炎、腹痛や下痢など。
胃腸炎
腹痛、下痢で、発熱はあっても軽微。アデノウイルスによる下痢は2週間程度と長いのが特徴。
(ただし、アデノウイルスによる胃腸炎は夏場だけでなく比較的1年を通して発生する)
夏風邪の感染経路と治療
夏風邪のウイルスの感染経路は主に接触感染、経口感染、飛沫感染です。
アデノウイルス感染症が疑われる場合は、迅速検査で感染の有無を検査することも出来ます。
夏風邪のウイルスは感染力が比較的強いものもあり、咽頭結膜熱や手足口病、ヘルパンギーナは学校感染症に指定されていて出席停止期間が設けられています。
夏風邪の治療は、抗ウイルス薬がないため、主に症状を和らげる対症療法が主となります。
しっかりと休養、栄養、睡眠をとり、水分を摂取していれば自然に回復していくことがほとんどです。
大人の夏風邪予防のために
夏風邪に罹りやすいケース
- 体力や免疫力の低下
- 同居している子供がいる
- 仕事で子供たちと接することが多い
対策
- 手洗い・うがいなどの基本的な感染予防策
- 家族に患者が出た場合は食器やタオルの共用は避ける。
- 「夏バテ」しない様に体調管理をする。
本格的な夏を迎えると「夏バテ」を起こす方も多いと思います。
炎天下での外出や外気温とエアコンが効いている室内の温度差による疲労、暑く寝苦しいことによる睡眠不足、食欲不振などが続くと「夏バテ」となり、体力や免疫力の低下を招きます。このため「夏バテ」しない様に体調管理をしていくことが大切です。
「夏バテ」予防のために
- 汗によって失われやすいミネラルを摂る為にも、食事はバランスよく、たんぱく質を含め、色々な種類の食品を摂る。
(特に糖質をエネルギーに変えるビタミンB1をしっかりとる。豚肉やウナギ、カツオなどの魚、枝豆などの豆類などの食品) - エアコンを上手に利用し、快適な睡眠環境を整え良質な睡眠をとる。(暑さやエアコンの寒さには、衣類を調整して対応)
- 軽い運動や10分程度の半身浴により血流を促し、疲労回復に努める。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子