夏の尿路結石症に注意しましょう

尿路結石による疼痛発作は、7~9月に多いと言われています。夏は発汗が多くなることで尿量が減少し、尿が濃縮することで結石ができやすくなります。

尿路結石症の痛みは激烈だと言われておりking of painとも言われる程ですので、しっかりと対策をして予防しましょう。

尿路結石症とは

尿路結石症とは、「尿路」に結石が作られる病気です。
結石が存在する部位によって、腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石と呼ばれます。

結石の成分は様々で、シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石、シスチン結石等があります。このうち一番多いのがカルシウム結石で約8割を超えています。この40年で罹患率は3倍程度に増加しています。

患者は男性の方が多く、2015年に行われた調査では男性:女性の比率は2.2:1でした。40歳から60歳代の中高年での発症が多くなっています。

尿路結石症の原因

尿の流れの停滞や尿路の感染、内分泌や代謝の異常など様々な要因が影響していると考えられています。

  • 尿の流れの停滞 … 腎臓や尿管の異常、前立腺肥大症やがん等によって起こりやすい。
  • 内分泌や代謝の異常 … 甲状腺や副甲状腺の病気、高尿酸血症等が原因。

食習慣の欧米化や肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病がその発症と関連しているとも言われています。

特に肥満の方には腎結石の発症が多いです。

尿路結石症の症状

特徴的な症状は、「突然に生じる激しい痛み(疝痛発作)」と「血尿」です。
結石が腎臓にある内は無症状で経過することが多いのですが、結石が尿の流により尿管内に移動し尿路を塞ぐことにより尿管痙攣を起こしたり、腎盂内圧が上昇することで強い痛みが生じます。症状の特徴をまとめると以下の通りです。

  • 結石が小さいうちは無症状で経過することもある。(健診等で偶然発見されることも多い)
  • 結石の痛みや症状は、以下の通り結石がある場所によって異なる。

腎結石 :無症状か鈍い痛み
尿管結石:結石がある側の脇腹・背中・下腹部の激しい痛み、吐気・血尿
膀胱結石:下腹部痛、残尿感、頻尿
尿道結石:排尿時痛、血尿、排尿困難

  • 痛みの持続時間は3時間程度で、痛みには波がある。
  • 尿路感染症を伴う場合は、発熱や尿の濁りが見られることがある。

尿路結石症の診断と治療

診断

多くの場合、痛みの場所や症状でおおよその診断が可能だと言われている。更に詳しく調べるために尿検査、血液検査、超音波検査・CT検査等の画像検査、結石成分分析等の検査が行われます。

治療方法
結石の大きさや種類、感染の有無、腎機能低下の有無によって決まります。

自然排石が期待できる10㎜以下
→ 水分摂取量を増やすほか、食事、運動などの日常生活指導、内服薬で経過を見る。

結石が大きく自然排石が難しい、痛み発作を繰り返す、尿路感染を合併している、腎機能低下が疑われる
→ 結石を砕いて排出させる治療(砕石治療)が行われる。尿路結石の治療を行わないと腎機能の低下が進むことがある為、適切な治療が必要。

尿路結石症を予防するために

予防の基本は「水分摂取」「食事」です。以下のポイントを意識しましょう。

  1. 飲水量は食事以外で1日2ℓ以上が目安。1日の尿量を2ℓ以上に保つことがポイントで、特に水分が失われやすい夏は、よりしっかりと水分摂取を行う。
  2. バランスの良い食事を摂る。
  3. 結石の原因となるシュウ酸を多く含む食品(紅茶、玉露、抹茶、ほうれん草、竹の子、さつま芋、レタス、ブロッコリー、茄子、ピーマン、ナッツ類など)の摂り方を工夫する。
    ・水分摂取は、シュウ酸の含有量が少ない麦茶やほうじ茶等のお茶又は、水にする。
    ・シュウ酸を排出してくれる、カルシウムを含む食材と一緒に摂る。
    (カルシウム摂取の目安:1日600~800㎎/日)
    ・茹でることでシュウ酸を減らす。
    (茹でることでシュウ酸が流れ出て、その量を減らすことができる)
  4. 結石予防となるクエン酸(柑橘類に多い)、マグネシウム(豆類や海藻類に多い)を積極的に摂る。
  5. 結石の生成につながる動物性脂質や動物性タンパク質、塩分を控える。

適度な運動を行うこと、肥満を予防していくことも予防のポイントとなります。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子