骨粗鬆症を予防しましょう
10月20日は世界骨粗鬆症デーです。「世界中から骨粗鬆症による骨折をなくす」ことを目標に世界規模でキャンペーンが展開されます。
骨粗鬆症は自覚症状がなく進行していきますので、「沈黙の疾患」とも呼ばれています。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは骨の量(骨密度)が減る、または骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。日本では急速な高齢化によりその患者数が増加しています。
原発性骨粗鬆症
主にエストロゲンの減少や加齢が原因で、罹患されている方のおよそ9割を占めています。エストロゲンが減少する閉経後の女性に多く見られます。
続発性骨粗鬆症
クッシング症候群などの内分泌疾患といった特定の病気やステロイドなどの薬の影響によって二次的に起こります。
近年の腰椎と大腿骨頚部の骨粗鬆症有病率調査により、男性の患者が300万人、女性の患者が980万人と、およそ1300万人程度の患者がいると推測されています。
骨粗鬆症の症状
自覚症状はほとんどありませんが、転倒やくしゃみといったわずかな衝撃でも骨折が起こりやすくなります。
骨折が起こりやすい部分・引き起こす症状
背骨(椎体の圧迫骨折)
背骨の椎体が押しつぶされる形で骨折すると、背骨が変形して背中が丸く盛り上がった状態になります。背中が変形することで、首や腕、背中から腰にかけての慢性痛や心肺機能の低下、易疲労感、逆流性食道炎や食欲不振といった消化器症状など多くの不調を引き起こします。
手首の骨(橈骨遠位端骨折)
太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)
寝たきりの原因の第2位。寝たきりになることによって認知症につながります。
骨粗鬆症の検査・診断と治療
治療は骨量の減少度合いにもよりますが、主に薬物療法が中心となります。あわせて食事療法や運動療法も行われます。
続発性骨粗鬆症の場合は、原因となる病気の治療を行います。
検査方法
- 骨密度測定:X線を使用
- 骨代謝マーカーの検査:血液検査・尿検査
- 超音波検査:骨粗鬆症検診などで広く行われている、被ばくの心配のない超音波を用いて骨量(骨の丈夫さを表す指標)を測定し将来の骨折リスクを予測する検査です。診断や治療効果の測定はできません。
- 胸椎と腰椎のX線検査:骨折の有無、骨折による変形や骨粗鬆症による変化などを判定します。
骨粗鬆症は予防が重要
骨量は20歳頃にピークを迎え40歳頃まで維持されますが、その後減少が始まります。
骨量の増加時期である20歳頃までにバランスの良い食事や運動でしっかり身体を動かすことで、骨量をできるだけ多く増やしていくこと重要です。このピーク時の骨量が高いと、骨粗鬆症の発症を遅らすことができます。
骨量のピークが過ぎたら、それ以降はいかに骨量を維持していくかが重要です。
骨粗鬆症予防のポイント
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子