産業医によるメンタルヘルスケアの重要性や得られるメリットを解説

ストレス社会で大きなメンタルヘルスを抱えている方は少なくありません。特に昨今はコロナ禍で満足に仕事ができず収入が激減している方も多くいます。そこで注目されているのが「産業医」になります。ここではメンタルヘルスケアを行ううえで、産業医の重要性・メリット・選び方について解説しています。

「産業医と協力して行うメンタルヘルスケアの重要性」

ストレス社会の昨今、新型コロナウイルスでますますストレスを抱える人が増えています。そこで重要性が高まってきているのがメンタルヘルスケアです。ここではメンタルヘルスケアを行う重要性について解説します。

「メンタルヘルスケアが重要な理由」

メンタルヘルスケアを行うことは、仕事に大きな影響を与えます。ストレスによって循環していなかったことがスムーズに回るようになるため、会社にとってメンタルヘルスケアを行うことは非常に重要になります。もちろんメンタルヘルスケアの重要性を知るのは従業員だけではありません。経営層から従業員まですべての人が理解する必要があります。

メンタルヘルスケアの重要性を知ることで得られるのは、
◎目的の重複など無駄を省くことができる
◎専門的な対策を行えるようになる
◎活動計画を立てることができる
◎心身共に気持ち良く仕事ができる
◎自殺者や過労死を軽減できる

などが挙げられます。過度なストレスによって死者が出てしまう前に、会社で働いているすべての人のメンタルヘルスを知り、早急に対策することでトラブル回避にも繋がるでしょう。

「産業医がメンタルヘルスケアを行う理由」

会社のメンタルヘルスケアは、産業医が行うことになります。なぜ産業医なのかというと、従業員の健康やメンタルの状態を管理する専門の医師だからです。専門的な立場で指導や助言を行い、常に従業員が心身共に健康でいられるように整えることが産業医の仕事であるため、会社においては産業医がすべての従業員のメンタルヘルスケアを行うことになります。

ただ全企業が産業医を導入できるわけではないため、そこは注意しなければいけません。選任するにあたりいくつかの条件があることも十分理解しておきましょう。

<選任が必要になる基準>
従業員の数によって選任の必要性が変わってきます。また選任できる人数も異なります。従業員50人以上3,000人以下であれば1名の産業医を、3,001人以上であれば2名以上選任しなければいけません。また常時1,000人以上の従業員がいる会社は専属産業医の選任が必要になるでしょう。

・専属産業医
常時500人以上でも専属産業医の選任が求められます。他にも多量の高熱物体/低温物体を取り扱う会社や放射線、有害なものを取り扱う会社も従業員の人数に関わらず専属産業医が必要になる場合があります。

<嘱託産業医>
嘱託産業医は、従業員50人以上999人の場合に選任できます。専属産業医とは違い常勤ではないため普段は他の病院で働き、月1~数回だけ訪問する形になります。なかには複数の会社を担当している嘱託産業医もいるでしょう。

「産業医が行うメンタルヘルスケア」

メンタルヘルスケアの重要性と産業医についてわかったところで、どんなメンタルヘルスケアを行うのでしょうか。ここではケアの内容について解説します。

「面談」

従業員や現在休職している者との面談を行います。面談によってたとえば従業員に万が一健康の問題があった場合、休職を要請することもありますし休職者が復帰できることもあります。面談では健康・休職・復職・高ストレス者などさまざまなチェックが行われ、近年ではストレスチェックの実施も欠かせません。ただし面談は産業医が必要性を感じたときに行うため、任意ではありません。

どんなときに面談が必要になるのかというと、特に多いのが“長時間労働”です。1ヶ月の労働時間が80時間を超えた場合、産業医との面談が義務付けられています。他にも健康診断やストレスチェックで高ストレスが出た場合も面談が必要になります。

従業員から面談を希望することも可能ですので、メンタルの状態が良くない場合はきちんと面談を受けたほうが安心です。

「ストレスチェック」

ストレスチェックのアンケート実施によって、従業員がどれだけストレスを抱えているかを把握します。アンケートは簡単な質問に答えるだけなのでラクな気持ちで行えます。ストレスチェックで問題(高ストレスなど)が出た場合は、先ほども述べたように産業医との面談が必要になるでしょう。

ちなみにストレスチェックアンケートは、契約期間1年以上かつ1週間の労働時間が3/4の日数だった場合に行われます。

「産業医にメンタルヘルス対策を任せるメリットや効果」

従業員のメンタルヘルスケアは産業医に任せたほうが確実です。ここでは産業医に任せた場合のメリットや効果について詳しく解説します。

「どんなメリット・効果が得られるのか」

一番のメリットは、やはり従業員のパフォーマンスが向上するため生産性が維持できるようになります。会社の状態を良くするためには、従業員のパフォーマンスがとても重要です。ストレスを抱えた従業員ばかりが集まれば、生産性は低下してしまいます。このように、産業医にメンタルヘルス対策を行ってもらえば、労働生活の質を高めることができるでしょう。仕事のモチベーション上がり、滞った仕事がスムーズに循環するようになります。

他にもリスクマネジメントが軽減できます。そのため従業員の休職・離職も防げ、会社の存続にも大きな影響を与えるようになるでしょう。

「良い産業医の選び方」

とはいえ、ひと口に産業医といってもさまざまです。いろんな産業医がいるからこそ、より良い産業医を選任することが大きなポイントになります。ここでは“良い産業医の選び方”について解説します。

「そもそも産業医はどうやって探すのか」

一般的な産業医の探し方は「医師人材紹介会社」「地域の医師会」「医療機関」「健康機関」などが挙げられます。社内や社員の人脈がある方はその探し方もひとつの手段になります。医師人材紹介会社は多くの医師が登録しているので効率良く探せますし、コストはかかりますがニーズに合った産業医を探せるのでメリットが大きいでしょう。

「選び方のポイント」

メンタルヘルスケアと聞くと「精神科医が良いのでは?」と思われがちですが、必ずしも精神科医がケアに役立つかと言ったらそうではありません。もちろん精神科医のほうがメンタルヘルスの専門家なので有利になりますが、専門家だからこそ、メンタルヘルスばかり重視してしまうと会社が機能しなくなってしまう恐れがあります。ですから会社と一緒に働くことを前提に、そういったことを十分理解した精神科医を選ぶようにしましょう。要するに専門知識だけで診断するのではなく、人間性やコミュニケーション能力も必要になるというわけです。

他にも、
・熱意をもって対応してくれる
・主体性がある
・信頼できる

などが良い産業医を見極めるポイントになります。どうしても良い産業医が見つからない場合は「こんなとき、どうしますか?」と逆に質問を投げかけ、回答で判断するのも良いかもしれません。

「メンタルヘルスは産業医に任せたほうが安心」

各会社で従業員のメンタルヘルス対策を行っているかもしれませんが、メンタルヘルスに関してはやはり産業医のように専門家に任せたほうが安心です。素人では気づかないことに気づいて対応してくれますから、大きなトラブルを防ぐことができるでしょう。