夏の健康管理について

一年で最も暑さの厳しくなる8月。この季節は、体のだるさや疲労・食欲不振といった「夏バテ」と言われる体の不調を起こしやすい時期ですので、体調管理にも注意が必要です。

今回は夏の体調不良の原因と、体調管理のポイントについてお伝えします。

夏の体調不良の原因と症状

夏の暑さは、それ自体が疲労や睡眠不足、食欲低下を引き起こします。
それ以外にも以下の様な原因により、体の不調が引き起こされます。

*温度差による自律神経の不調

冷房が効いている場所と屋外の温度差が大きくなると、体温調整を行っている自律神経に大きな負担をかけます。この自律神経への負担が、疲労感やだるさにつながります。

*発汗や食事の偏りによるミネラルや水溶性ビタミンの不足

多量の発汗により体内のミネラル分が失われ、このことが疲労感やだるさの要因となっていると言われています。失われるのはミネラルだけでなく、水溶性ビタミンであるビタミンB1なども汗と共に失われるそうです。

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きを持ちますが、暑さによって冷たい麺類などの糖質に偏った食事が多くなったり、清涼飲料水の摂取が増えることにより、ビタミンB1の消費量が増え、その結果ビタミンB1の不足をもたらします。このビタミンB1が不足すると、エネルギーを効率よく作ることが出来なくなるため、だるさや疲労感といった症状が現れます。

*冷たい飲食物の摂取による消化機能の低下

暑さのため、冷たい食べ物や飲み物をとることも多くなりますが、これらは胃腸の機能を低下させ、食欲不振や下痢・便秘などの症状を起こすこともあります。

多量の水分摂取もまた、胃液を薄めるため消化機能の低下につながると言われています。

夏の体調不良を防ぐために

*食事のとり方を工夫しましょう

炭水化物(糖質)に偏らず、たんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランスよくとるようにしましょう。食欲がないと、しっかりと食事をとることが難しいとは思いますが、少量でもよいので、なるべく多くの種類の食品をとるようにしましょう。

ビタミンの中でも、特に摂取したいのがビタミンB1を多く含む食品です。

<ビタミンB1を多く含む食品>
玄米ご飯や胚芽精米ご飯、全粒粉パンや全粒粉パスタ、豚肉やウナギ、カツオなどの魚、枝豆などの豆類など
※「アリシン」の多いネギや玉ねぎ、にんにく、ニラなどの香味野菜はビタミンB1の吸収を高めます。

また、冷えた飲食物を摂りすぎないようにし、常温の食べ物や温かい汁物などとるようにしましょう。

食欲が中々出ない場合は、辛いものや香辛料、香味野菜など胃液の分泌を促す食べ物がおすすめです。酸味も食欲増進には効果的です。レモンなどの柑橘類に含まれるクエン酸は、酸味での食欲増進に加え、疲労回復にも効果的です。

*体温調節を上手に行いましょう

オフィスや電車の中など、エアコンが効いている場所では、さっと羽織れるカーディガン等の上着やひざ掛け等を利用し、温度変化による自律神経への負担を減らしましょう。

またエアコンの設定温度もうまく調節しましょう。夜間、エアコンを切ったり、タイマー設定する方も多いと思いますが、気温が25度以上となる熱帯夜では、エアコンを消さずにつけ続け、気温と湿度を一定にした方が自律神経の疲労を防ぐことが出来るそうです。エアコンの冷えが気になる方は、寝具を少し暖かめのものにしてお休みいただくと良いでしょう。

*半身浴や軽い運動で疲労を回復しましょう

暑い夏こそ、ぬるめのお湯での半身浴がおすすめです。38度位のお湯に10分程度つかることで、副交感神経が優位になりリラックスできます。涼しい夕方などに少し散歩に出かけたり、涼しい室内でストレッチするなど、軽めの運動もおすすめです。

入浴や軽い運動は、血流を促すことで老廃物を排出し疲労回復につながります。また、冷房の冷えによって血流が悪くなっている方にも効果的でしょう。

*睡眠をしっかりとりましょう

質のいい睡眠は、疲労を回復させ、体調を整えるためにも非常に重要です。忙しい時でも睡眠時間を確保するようにしましょう。体温が高いと寝つきが悪くなりますので、入浴は就寝の1時間前までにすませましょう。
また寝酒や寝る直前の食事は睡眠の質を落としますので、避けるようにしましょう。

睡眠不足や暑さによる疲れで日中に眠気がある場合は、昼食後に15分程度の仮眠がおすすめです。短時間の仮眠でも、頭がすっきりとし、疲労感も軽減されるでしょう。

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子