新型たばこについて
毎年5月31日「世界禁煙デー」からの1週間は「禁煙週間」となっています。
たばこは喫煙者だけでなく、周囲の人にも受動喫煙として健康への悪影響を与えており、現在、全世界で年間500万人、日本でも11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しているとも言われています。
健康に大きな影響を与えているたばこですが、近年紙巻たばこよりも健康への悪影響が少ないというイメージから、加熱式たばこなどの新型たばこの利用者が増加しています。
新型たばこは本当に健康への悪影響が少ないのでしょうか?
今回は新型たばこについてお伝え致します。
新型たばことは
加熱式たばこ
たばこ葉やたばこ葉を加工したものを、燃焼させずに電気的に加熱し、発生する蒸気を吸うタイプのたばこです。加熱するための電子機器(デバイス)にはアイコス、グロー、プルームといった製品などがあります。
火を使って燃やさないため、煙を出さずタール等の有害物質が低減されると言われています。
電子たばこ
たばこ葉を使用せず、リキッドを電気的に加熱して蒸気にし、それを吸う製品です。
リキッドにはニコチンを含むものと含まないものがあり、海外ではニコチンを含むリキッドが販売されていますが、日本国内ではニコチンを含まないものが一般的で、「たばこ製品」として販売されているものはありません。
(日本国内では、ニコチンを含むリキッドは「医薬品」、ニコチンを含むリキッドを吸引する器具は「医療機器」扱いとされているため。)
日本では加熱式たばこが新型たばこの主流となっています。
増える加熱式たばこの利用者
加熱式たばこは、紙巻たばこよりも健康影響が少ないと宣伝されていたり、煙が出ず臭いも少ないことなどから、その利用者が増加しています。
現在、喫煙者の2~3割が使用していると言われており、特に若い喫煙者で加熱式たばこを使用する人が多く、国民健康栄養調査(2019年)によると、30~40歳代男性で約4割、20~30代女性で約5割が加熱式たばこの使用者だと言われています。
加熱式たばこの健康への影響
加熱式たばこは、紙巻たばこに比べるとニコチン以外の主要な有害物質が少なく、人体への悪影響が紙巻きたばこに比べて低減すると広告でも宣伝されています。
しかし、加熱式たばこは販売されてから年月が浅く、研究が十分に行われていないため、現段階で健康への長期的な影響について予測すること困難だと言われています。また、以下の様な問題が指摘されています。
- 紙巻たばこと比べると有害物質が低減されるとはいっても、たばこ葉を加熱するために、発がん性物質等の多くの種類の有害化学物質が紙巻たばこ同様に含まれる。
- 有害物質が仮に9割少ないとしても、病気が同じように減少するわけではない。
- たばこの健康影響には安全域がなく、たとえ少量の有害成分にさらされても影響がでるので、喫煙者と受動喫煙者の健康に悪影響を及ぼす可能性が否定できない。
- 健康影響が少ないというイメージから、禁煙意欲を低下させたり、禁煙試行時の禁煙治療の選択を妨げる可能性がある。
- たばこ製品の流行を遷延させ健康被害が続きやすく、受動喫煙対策など、その他のたばこ規制にも悪影響を与える可能性がある。
- ニコチンの体への影響は紙巻たばこと似ており、ニコチン依存症が継続して、禁煙が困難になる。
- 紙巻たばこを併用した場合には有害物質の十分な低減すら期待できない可能性が高い。
加熱式たばこでも禁煙治療を受けることができます
加熱式たばこの健康への影響はまだはっきりしておらず、紙巻たばこ同様、多種にわたる発がん性物質等の有害物質が含まれています。健康を考えるのであれば、是非禁煙を目指しましょう。
禁煙される場合は、禁煙外来での禁煙治療がお勧めです。自力で禁煙するよりも「楽に確実に」禁煙することが出来ると言われています。
健康保険での禁煙治療は加熱式たばこも対象になっています。
また、かかりつけ医をもっているなど一定の条件を満たせば、オンライン診療で手軽に禁煙治療が受けられるようになっています。
禁煙外来を実施している医療機関については、以下リンクをご参照ください。
日本禁煙学会作成「全国禁煙外来・禁煙クリニック一覧」
http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic.html
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子