健康寿命を延ばしましょう
毎年9月は「健康増進普及月間」とされ、生活習慣病への理解や生活習慣改善の重要性について理解を深め、健康づくりの実践を促進するための啓発・普及活動が全国的に行われます。
平均寿命が伸長していく中で、日常生活に制限がない期間である「健康寿命」を伸ばしてくことが求められていますが、このためには個人でも生活習慣病を予防するとともに、筋力や体力を維持していくことが重要となります。
平均寿命と健康寿命
平均寿命 (0歳における平均余命)
男性:81.41歳 女性:87.45歳
健康寿命 (健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)
男性:72.68歳 女性:75.38歳
平均寿命と健康寿命の差
男性:9年 女性:12年
→ 健康寿命が長く平均寿命との差が短ければ、介護を必要とする期間が少なくなります。
健康寿命を延ばし平均余命との差を短くしていくことは、自立した生活を長く送り、私たち自身の生活の質を維持していくためにも重要ですが、同時に医療介護などの社会保障制度の維持という面でも重要となります。
健康寿命に影響を与えるもの
介護を必要とする状態となる要因 (自立した生活を送ることができなくなる状態)
認知症のリスク因子
コントロールできないもの
遺伝や加齢等
コントロールが可能なもの
高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病・肥満・喫煙・身体活動・栄養・飲酒等といった生活習慣
その他の要因についても、認知症同様に生活習慣病や生活習慣が大きく影響を与えていますので、健康寿命を延ばしていくためには生活習慣を見直し生活習慣病を予防していくことが重要です。
健康寿命を延伸するためには
日本人の健康寿命延伸のために必要な予防行動等について、個人とそれを取り巻く社会的要因に関する目標を、国立高度専門医療研究センター6機関が連携して「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」としてまとめています。以下に提言で目標とされている項目をご紹介いたします。
生活習慣病を予防するとともに、加齢に伴う体力低下を防ぎ健康寿命を延ばしていくためにも、以下の目標を意識し、出来ることから実践していきましょう。
喫煙
たばこは吸わない。他人のたばこの煙を避ける。
飲酒
飲む場合は、1日あたりの飲酒量を、アルコール量に換算して男性で約23g程度(日本酒1合程度)、女性はその半分に抑える。休肝日を作る。寝酒は避ける。飲まない人や飲めない人にお酒を強要しない。
食事
年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない、偏りすぎないバランスのよい食事を心がける。
- 食塩の摂取は最小限に(男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満)
- 野菜・果物は適切に
- 食物繊維は多く摂取する
- 大豆製品や魚を多く摂取し、赤肉(鶏肉以外の牛・豚・羊の肉)・加工肉などの多量摂取を控る
- 甘味飲料(砂糖や人工甘味料が添加された飲料)の摂取は控える
- 年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する
- 多様な食品の摂取を心がける
体格
ライフステージに応じた適正体重を維持する。
身体活動
日頃から活発な身体活動を心がけ、現状より1日10分でも多く体を動かすことから始める。
具体的な身体活動量の目安は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行い、その中に、息がはずみ汗をかく程度の運動が1週間に60分程度含まれるとなお良い。
特に高齢者は、強度を問わず、身体活動を毎日40分行う。
心理社会的要因
心理社会的ストレスをできる限り回避する。孤独を避け、社会関係を保つ。質の良い睡眠をしっかりとる。
健診・検診の受診と口腔ケア
定期的に健診やがん検診を適切に受診する。口腔内を健康に保つ。
この他、肝炎やインフルエンザ、肺炎等の感染症への対策なども重要とされています。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子