花粉症について
新型コロナウイルスの流行が続いていますが、新型コロナウイルス感染症と共に、これから春に向けて気をつけたいのがスギなどによる花粉症です。今回は花粉症についてお話させていただきます。
花粉症とは
花粉症は花粉を原因としたアレルギー疾患で、日本人の約3割程度の患者がいるといわれ、その数は年々増加しているともいわれています。
花粉症を引き起こす植物は、報告されているもので50種類以上あり1年を通して飛散していますが、その中でも春に飛散するスギによる花粉症が多くを占めています。
<花粉症の症状>
主な症状は、くしゃみ、鼻水・鼻づまり、眼のかゆみ・充血・涙といった鼻や眼の症状です。
この他、喉のかゆみや刺激感、咳、胃腸症状(痛みや下痢)、顔などの露出されている部分の皮膚症状(かゆみや発赤)、頭痛や頭重感、微熱などの全身症状を示すこともある言とわれています。
<新型コロナウイルス感染症と花粉症との違い>
花粉症の症状は新型コロナウイルス感染症の症状と共通点も多く、判別が難しいケースも出てくる可能性があります。
新型コロナウイルスの主な症状は、発熱・悪寒・咳・咽頭痛・だるさ・食欲低下・息切れ・痰・筋肉痛・味覚障害・嗅覚障害です。この他、嘔吐・下痢などの消化器症状や目の充血などもみられることがあります。
共通する症状が多いですが、新型コロナウイルスによる症状では、鼻水や涙は少ないという報告があります。
また花粉症では、発熱は微熱程度で、高熱になることはありませんし、悪寒や筋肉痛が出ることもありません。味覚・嗅覚障害や息切れも、花粉症で起こることもありますが、それほど多くは起こらないと考えられます。
今年の花粉飛散予想
今年のスギ花粉の飛散は例年通り、2月上旬に九州や四国、関東地方の一部からスタートする見込みです。花粉飛散散量のピークは3月上旬~中旬となる見通しです。
今年の飛散量は、非常に少なかった昨年と比べると、東北北部と北海道を除き全国的に多くなるとみられていますが、例年の飛散量と比較すると全国的に少ない見込みになっています。
例年より少ない飛散量ではありますが、非常に少なかった昨年よりは大きく飛散量が増加するため、昨年症状が弱かった方も今年は注意が必要です。
花粉症対策
花粉症治療においては、花粉飛散の少し前から薬物療法を開始し,できるだけ症状を重症化させないということが大切です。
毎年花粉症の時期に鼻炎等の症状が出る方は、飛散が本格的に始まる前に受診いただくことがお勧めです。
<花粉症の治療>
花粉症治療では主に「薬物療法」「手術療法」「アレルゲン免疫療法」が行われます。
市販薬も販売されていますが、症状に合わせた治療のためには、受診し医師に相談いただくと良いでしょう。
薬物療法 | 飲み薬や点鼻薬、目薬、注射での治療が症状に合わせて行われます。 |
手術療法 | 花粉症の症状のなかでも鼻づまりが特に重い人や薬を使っても中々症状が改善されない人等に対する治療法です。鼻粘膜の表面にレーザーを照射しアレルギー反応を抑えます。治療効果は半年~数年程度持続するそうです。レーザー治療を行うと、治療後一時的に鼻粘膜に炎症を起こし、症状が悪化することがあります。このため、レーザー治療は、花粉症シーズンに入る前、秋~冬の初め頃に治療を行います。 |
アレルゲン 免疫療法 |
花粉症の原因物質(=アレルゲン)を体内に取り入れ、花粉によるアレルギー反応を緩和していくという治療法です。この治療には「皮下免疫療法(皮下注射)」と「舌下免疫療法」の2種類の方法があり、即効性はなく、どちらも治療には長期間(3年前後)かかります。 |
<個人でできる花粉症対策>
花粉症はセルフケアを行うことも大切です。部屋をまめに掃除したり、帰宅時に衣服や髪など体についた花粉をしっかり払って居室に花粉を持ち込まないようにしたり、帰宅後すぐに洗顔や入浴するなど、花粉をなるべく体内に取り込まない工夫を行いましょう。
また、免疫機能を正常に保つ生活(十分な睡眠と休息・規則正しい生活)をおくること、鼻の粘膜を正常に保つため、タバコやお酒を控え、風邪を予防することも大切です。
花粉の飛散状況は、テレビやインターネットなどから情報を確認できますので、日々の飛散状況をチェックいただくと良いでしょう。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子