メンタルヘルス不調を予防しましょう

4月は入社や異動、組織の変更など環境の変化が大きい時期のため、メンタルヘルスの不調に注意が必要な時期です。

今回はこの時期に実践いただきたい「セルフケア」「ラインケア」のポイントを中心にお伝えいたします。

4つのメンタルヘルスケア

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に、効果的なメンタルヘルス対策を進めていく上で実践が勧められている「4つのメンタルヘルスケア」は下表の通りで、4つのケアを継続的かつ計画的に行っていくことが重要です。

セルフケア
労働者自らがストレスや心の健康について理解し予防や軽減、対処を行っていくこと。

ラインケア
管理監督者が行うケアで、日頃の職場環境の把握や改善、部下の相談対応を行うこと。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア
社内の産業医、保健師や人事労務管理スタッフが行うケアで、労働者や管理監督者等の支援や、具体的なメンタルヘルス対策の企画立案を行うこと。

事業場外資源によるケア
社外の専門的な機関や専門家を活用し、支援を受けること。

 

セルフケアのポイント

自身のこころの状態やストレスへの「気づき」を大切にしましょう

環境の変化や季節の変わり目で心身の疲労があると、いつもよりもストレスへの耐性が低くなることもあります。適応障害やうつ等の本格的なメンタルヘルス不調を引き起こさないためにも、こころの不調に早い段階で気づき、対応することが大切です。

不調のサイン
・気分が沈む、憂うつである
・何をするのにも元気が出ない
・イライラする、怒りっぽい
・気持ちが落ち着かない
・理由もないのに、不安な気持ちになる
・胸がどきどきする、息苦しい
・食欲が出ない、食べてもおいしいと感じない
・めまいがする
・睡眠の状態が悪くなった(中々寝付けない、夜中に何度も目が覚める、熟睡した気がしない等)

こころの不調のサインが見られたら、早めに上司や産業医・保健師等の事業場内の産業保健スタッフ、EAP等の社外の相談窓口に相談しましょう。

自分自身のリラクゼーション法、ストレス解消法を見つけましょう

  • 軽い運動:気分を改善し、ストレスを軽減してくれる。睡眠状態の改善にもつながる。
  • 入浴やストレッチ: 凝りを改善し、血流を促し心身をリラックスさせてくれる。
  • スマホから少し離れ、ゆっくり音楽を聴いたり読書する。カラオケ等で声を出す。
  • 不安感や緊張感が取れない時は、ゆっくり深呼吸し気持を落ち着かせる。

生活習慣も意識しましょう

規則正しいリズムで生活することで、自律神経の調子が整いやすくなります。軽くても朝食を摂るようにし、色々な種類の食品を選びバランスの良い食事を摂るようにしましょう。

また忙しい時期ほど「睡眠」をしっかりとるようにしましょう。お酒は睡眠の質を低下させることもありますので、飲みすぎには注意し適正飲酒量で楽しむようにしましょう。

 

ラインケアのポイント

管理監督者が「いつもと違う」部下の様子に早く気づくことが大切

下表内のサインが見られたら、部下に話を聞き状況を確認するようにしましょう。必要があれば部下へ社内外への専門家へ相談をするよう勧めたり、個人情報に配慮した上で社内産業保健スタッフへ対応を相談しましょう。

・勤怠に問題が生じるようになった(遅刻や無断欠勤することが増えた、業務量に見合わない残業や休日出勤が増えた)
・仕事のミスが増えたり、能率が悪くなった
・服装や髪形などの身だしなみが乱れてきた
・体に不自然な傷がある
・表情が暗くぼんやりしていることが多くなった
・感情の起伏が激しくなったり、トラブルを起こすようになった
・口数がへったり、一人になりたがる
・急に痩せたり太るなどの体形の変化があった

日頃から部下の行動パターンや人間関係等に意識を向けるようにしましょう。

傾聴を心がけましょう

ラインケアでは管理監督者が部下からの自発的な相談に対応する役割を担っています。
部下が相談しやすいように日ごろから部下の話を傾聴することが大切です。「相手の立場に立ち」「相手のことを受け止める」という姿勢が大切です。

ストレス要因を把握し、できることから改善していきましょう

職場内でどのようなストレス要因があるのかを特定し、対応できるものから改善していきましょう。

  • 仕事の負荷や自由度、作業環境(温度湿度、照明、騒音など)
  • 作業方法(作業スペースや作業姿勢、身体や感覚器官への負荷など)
  • 人間関係、組織形態(指揮命令系統、責任や権限などの仕組み)

株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子