大腸がん検診について
日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん・肉腫)ですが、大腸がんの死亡数は、女性では第1位、男性でも第2位と上位を占め(2021年調査)、男性では約10人に1人が、女性では約12人に1人が一生のうちに大腸がんと診断されるとも言われています。
大腸がんは多くの罹患者がいる一方で、早期の段階で発見することが出来れば治る可能性の高いがんと言われており、早期に発見して適切な治療を受けることが大切です。
早期の段階ではほとんど症状がないため、早期発見のためには定期的に大腸がん検診を受けることが大切です。
大腸がんとは
大腸がんは大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあり、40~50歳代から増え始めます。
早期の段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると
・便に血が混じる
・便の表面に血液が付着する
・腹痛や便秘
・下痢
・便が細くなる
などの様々な症状が現れます。
大腸がんは、進行が遅い、性質が比較的おとなしい、ほかの臓器に転移しても切除可能といった特徴があり、治る可能性の高いがんと言われています。
40歳になったら定期的に大腸がん検診を受けましょう
職場や自治体で主に行われている大腸がん検診が「便潜血検査」です。この便潜血検査は、便を採取するだけでよい非常に簡便な検査ながら、大腸がんの死亡率を減少させることが科学的に認められている検査です。
大腸がんや、放置するとがん化する可能性のあるポリープ等があると大腸内に出血することがあり、検査ではその血液を検出します。この検査では通常では目に見えない微量な血液を検出することが出来ます。
検査は2日法が一般的で、2日分の便を採取し検査します。2回のうち1回でも陽性になれば「要精密検査」となります。
便潜血検査は、検査の有用性が認められる年代が40歳以上であり、大腸がん患者が増え始めるも40歳以上であることから、40歳以上の人を対象に、年1回、定期的に実施することが推奨されています。
大腸がん検診を受けるにあたってご注意いただきたいポイント
便は2日間採取しましょう
検査の精度は1日だけの採取よりも、2日間の採取の方が高いと言われています。
ポリープやがんがあっても、出血は間欠的である(出血する時も、しない時もある)ため、便は1日分ではなく2日間採取するようにしましょう。
便の採取や保存方法は、検査キットの説明書をよく読んで
説明書の通り採取・保存するようにしましょう。
女性の場合、月経中の検査は避けましょう
大腸からの出血か判別がつかない可能性がありますので、月経中の検査は避けるようにしましょう。
月経が終わってから2~3日後以降に採取することが推奨されています。
検査結果が「要精密検査(便潜血陽性)」となったら
・便潜血検査の再検査は行わず、必ず「全大腸内視鏡検査」による精密検査を受けましょう。
受診先は大腸内視鏡検査を実施している消化器内科を受診いただくと良いでしょう。
・2日間のうち1日分だけが陽性の場合でも、大丈夫と放置せずに必ず精密検査を受診しましょう。
・痔がある場合でも、しっかり精密検査を受けることが必要です。痔からの出血でも検査が陽性となることがありますが、痔があるからと言って必ずしも陽性になるわけではありません。
「痔だから」とは思い込まずに、必ず精密検査を受けましょう。
検査結果が「問題なし(便潜血陰性)」の場合も、年に一度の検査を受けるようにしましょう
がんやポリープからの出血は間欠的であるため、一回の検診だけでは病気を発見できないこともあります。
このため、「定期的」な検査が重要です。年に一度は便潜血検査を受けるようにしましょう。
大腸がん検診を受けるにあたってご注意いただきたいポイント
大腸内視鏡検査で「異常なし」といわれている場合は、40歳以上の方には年一度の便潜血検査による検診を継続することが勧められています。
大腸ポリープの治療を行った場合、多くの場合3年後の大腸内視鏡検査が勧められます。
ただし、小さなポリープ(低異型度の腺腫)を1~2個切除したのみであれば、5年後の大腸内視鏡検査でもよいとされています。詳しくは担当の医師の指示に従ってください。
自覚症状がある場合は検診を待たずに医療機関を受診しましょう
便潜血検査は、症状がない健康な方を対象にして行われる検査です。
便に血が混じる、便に血が付着する、腹痛、便の性状や回数の変化など気になる症状が続く場合は、次のがん検診を待たず、早めに医療機関(消化器内科)を受診することが大切です。
株式会社メディエイト 保健師 小河原 明子