年末年始に「労働災害防止強化運動」を推進しましょう! 《Vol.28》

1年の終わりと始まりに意外と多い労働災害

《12~1月は労働災害が多い季節です》

無災害運動は、働く人たちが年末年始を無事故で過ごし、明るい新年を迎えることができるようにという趣旨で、昭和46年から厚生労働省の後援のもと中央労働災害防止協会が推奨している運動です。

我が国における年間の労働災害による死傷者数は、平成22年から増加傾向にあります。特に年末は、企業の業務内容に係わらずスケジュールが過密となりやすく、交通事情の混雑、社内外でのイベントの増加、インフルエンザ等の感染症の発生など、疾病や怪我・事故の頻度が増すため、各事業所内において通常以上の健康推進・予防医学・労働事故災害防止の為の啓蒙活動が重要です。

近年は年間を通して発症している、労働者のメンタルヘルス不調や過重労働による健康障害においても、冬季に日照時間が短くなること、年末年始は他の月よりも多忙で変則的なスケジュールになること、アルコール摂取の機会が増加することなどとも重なり、睡眠障害をはじめとした症状が顕著となる可能性もあります。

強化月間にむけての具体策は?

とりわけ年末年始はあわただしく、生活のリズムも変わりやすくなります。社内の大掃除を始め、設備の保守点検・始動等、非定期の作業や業務が多くなることから、各事業場や職場での災害防止・健康予防のための特別な配慮が必要となります。

具体的に多い年末の労働災害事例としては、年末の社内片づけ作業の際の転倒・転落事故、就業途中・帰宅時の交通事故や怪我が多くみられますが、同時にノロウイルスやインフルエンザの社内での流行、前出のメンタル疾患の悪化などの健康障害の発生頻度も同時期に高くなっています。

具体的な対策としては、
・年末年始に向けた労働安全実施計画の作成・実施とチェックシステムの遂行
・体調不良者や疾病者が発生した場合の年末年始のサポートの構築
・社内衛生環境を整える(整理整頓、作業内容や工程の確認業務、衛生予防の慣行 等)
など、12月の間に計画し準備をすすめておくことが重要です。

どんな事業内容の事業所でも労働災害の可能性があります

「労働災害」という言葉は、建設業や製造業に特化した災害のイメージがありますが、実際には職種に関係なく、特に年末年始は労働・(交通)災害が数多く報告されています。

1年を無事に終え、新しい1年の始まりを無事故・無災害で迎えるためにも、日頃の業務内容や就業環境を再度見直し、「問題点の確認」や「解決策の検討」、「労働事故・災害防止チェックシステムの慣行」といった具体的な活動が各社重要になってくると思われます。

株式会社メディエイト産業医 望月香織 (Kaori Mochizuki M.D)

年末年始を無事故で過ごし、明るい新年を迎えましょう。