11月から増える下痢・嘔吐を伴う感染性胃腸炎に注意! 《Vol.27》

インフルエンザ同様に感染力の強いウイルスです!

《冬季(11月~)に特に患者数が増加する感染症です》

「お腹にくる風邪」とも言われる、冬季に多い感染性胃腸炎。その原因となるウイルスの代表は、主にノロウイルスとロタウイルスです。感染力が非常に強く、少ない量のウイルスでも感染します。

ノロウイルスは一年を通して活動しますが、特に11月から罹患者数が増加しはじめ、12~1月がピークとなります。冬季に好んで食べられる貝類を、充分に加熱しないで食べた場合に感染する事で有名ですが、感染者の便や吐瀉物から二次感染したり、調理をする人が感染し、その人が介在した食品を食べた事により感染がひろがる事があります。

潜伏期間は1~2日、主な症状は嘔吐・腹痛・下痢・発熱で、人によっては1日に10回以上の水様便が続くこともあります。このノロウイルスは乾燥に非常に強く、冬の乾燥した室内ではウイルスが空気中に舞うことも考えられます。人の多く集まる場所では十分な換気と加湿、同時に各自徹底した手洗い・うがいなどの対策が必要です。

治療と対策

ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、脱水症状に対する補液や、鎮吐剤・胃粘膜保護剤・整腸剤の投与など、症状に対する治療が行なわれます。発症した場合は1~2日下痢や嘔吐・発熱などの症状が続いた後、徐々に症状が回復する事がほとんどですが、脱水状態が続くと、場合によっては意識障害など重篤な症状が現れる場合もあります。免疫力が弱く、脱水症状が進行しやすい小児や年配の方は特に、水分と電解質を十分に補給することが大切です。

インフルエンザ同様に、予防を徹底する事が最も重要ですが、感染したと思われる方の嘔吐物や便の片づけの際には、厚生省の指針(※)に則り、
(1)マスク・手袋を装着
(2)換気を良くする
(3)処理後、十分に手洗い・うがいをする
という点に注意しましょう。

(※)ノロウイルスに関するQ&A
//www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

嘔吐・下痢・発熱の症状が出てしまったら…

11~12月は会食などの機会も増え、多くの人との交流が盛んになる時期です。この時期に乾燥した気候とも相まって、インフルエンザやノロウイルスなどのウイルス感染が一気に拡大することがあります。

感染が疑われた場合、出来るだけ多くの人との接触は避け、 最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。また、家庭や社内で何人もの人が同じような症状になった場合には、感染経路を調べ、感染拡大を防ぐことが重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。

また、水分摂取を試みたものの、十分に摂取できないような場合には、医療機関を受診し適切な対症療法を受けてください。

株式会社メディエイト産業医 望月香織 (Kaori Mochizuki M.D)

日ごろから正しい生活習慣を心がけ、ウイルスに
感染しにくくなるよう免疫力を上げることが大切です。