ノロウイルス 《Vol.18》

毎年冬に流行するウイルス性の病気と言えばインフルエンザでしたが、
今年は前年と違ってノロウイルスがすでに大流行しています。

《多数の遺伝子型が存在し、一冬に何度もかかる可能性があります》

ノロウイルスは幅広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こすウイルスで、年間を通してみられる疾患ですが、インフルエンザに負けず劣らず、冬になると流行します。
今年の流行(特に都心部)は驚異的なものがあり、遺伝子が新たに変異したタイプのノロウイルスの感染がたくさん報告されています。

ここ数週間は午前中だけでも20人以上のウイルス性胃腸炎疑いの患者様が来院されており、お話しを伺うと家庭や会社、学校でもたくさん同じ症状の方がいるなど、潜在的な患者数はもっと多い感じがします。

症状・特徴

潜伏期間は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。
通常であれば1~2日ほど続いた後、徐々に治癒していきますが、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、激しい嘔吐や下痢による脱水症状の悪化や腎不全などにつながる場合もあります。

ノロウイルスは適切に処理されなかった吐物や排泄物が乾燥し、ウイルスが空気中に舞い上がり感染が広がっていきます。アルコールや高温への抵抗性が強いことが特徴で、乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていることができる非常に厄介なウイルスですが、消毒には塩素系消毒液が有効と言われています。

予防と対処法

水に強いと言っても、まず簡単にできる予防法としてはのどや手についてしまったウイルスを洗い流してしまうのが一番です。

まずは丁寧な手洗いと、うがいを。そして下痢・嘔吐等の症状のある方は出来るだけ外出を控え、家庭内でもトイレや洗面所のタオルの使い回しを避ける、吐物等の処理をするときには、家庭用の塩素系消毒液を使って十分に消毒をするなど、注意を払う事が必要です。

ノロウイルスの治療には特効薬はなく、下痢を止める止瀉剤や点滴による水分・電解質補給、吐き気止め等の対症療法のみになっています。

家庭内では、スポーツドリンクを少しづつ何度も頻回に摂取し、部屋を暖かく、加湿しながら、熱のある場合にはわきの下や頸部・鼠蹊部を冷やす事が大切です。

※参考 都民向けパンフレット『防ごうノロウイルス』に消毒方法が掲載されています。

株式会社メディエイト産業医 望月香織 (Kaori Mochizuki M.D)