ストレスチェック制度を導入後の企業対応について

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ストレスチェック制度が義務化され、多くの企業で実施されるようになりました。しかし実施するだけではなく、その先の対応をどのようにしていくのかが重要になります。そのためには企業による取り組みだけでなく、産業と連携を取りながら進めていくことが大切です。

「ストレスチェック制度」導入が8割越え

ストレスチェック制度は、平成27年12月1日に改正された労働安全衛生法によって義務付けがされています。厚生労働省の調査によると、8割を超える事業場で導入されていると分かっています。この制度をきっかけに労働者のメンタル不調をいち早く察知し、健康的な職場環境の構築に役立てることができるのです。
しかしこれに関して問題も発生しています。ストレスチェック制度ではストレスチェックによって高ストレス者と判断された場合、面接指導の対象となります。この面接を受けることで意見を聞き、対処していくことが可能になりますが、その後の面接を行っている割合は非常に小さいことが分かっています。平成29年の時点で面接指導を受けた労働者の割合は1%にも達していません。面接を受けるべき対象者が少ないということではなく、対象者と判断されたにも関わらず面接を希望しない労働者がほとんどだということです。今後この問題を解決しなければ、ストレスチェック制度を活かしきれないままであり、労働環境がいつまでも改善されません。

どうして面接指導が増えないのか?

ストレスチェックの結果は、本人の同意がある場合にのみ開示されます。そのため本人が希望しなければ企業がその結果を知ることはできません。さらに、面接に関しても本人が希望しなければ行うことはありません。チェックの結果を開示せず、面接もしなければ企業側は対処ができません。面接による指導ができれば対応できることもあるかもしれませんが、面接指導が増えないのはいったいなぜなのでしょうか。
多くの人はプライバシーに関わる自分のストレス状態を上司や企業の人に知られたくありません。現在のストレス状況を耐えてでも、このことを知られたくない人がいるため、結果の開示や面接指導をやらないケースが多くなっています。また面接指導を受けることによって仕事に支障をきたすと考えることなどからも、受ける人が少なくなっています。ストレスチェックを実施したにも関わらずこのような理由などから、面接指導が行えず、社内環境や労働規則の改善に活かしきれていない企業が多いようです。

ストレスチェック制度の実施

ストレスチェック制度を実施するにあたり、まずは対象者が誰なのか、そして高ストレス者の基準などを明確にし、その後の対応についても言及していきます。

対象者

ストレスチェックの対象者は、その企業に関係するすべての労働者です。あいまいな言い方になりましたが、それだけ対象となる範囲が広いということです。企業雇用されている正社員はもちろん、パートやアルバイト、派遣社員、契約社員などもこれに該当します。雇用形態や勤務時間には関係ありません。ほとんど出社していないとしても従業員であればすべてチェックの対象です。
逆に対象外となるのは使用者、つまり企業の代表や社長、役員などです。ストレスチェックを受ける範囲は非常に広いということを覚えておきましょう。

高ストレス者の基準とは?

ストレスチェックの結果、高ストレス者であると判断されることがあります。このときの一般的な判断基準は、「心身のストレス反応に関する項目の評価店合計が高い者」と「心身のストレス反応に関する項目の評価点合計が一定以上かつ、仕事のストレス要因および周囲のサポートに関する項目の評価点合計が著しく高い者」とされています。しかし厳密な判断基準は衛生委員会による調査審議を経て企業が定めることになります。
この過程では専門知識を持った産業医による指示が重要となり、こうして最終的に定まった基準を超えた者が高ストレス者と判断されます。

高ストレス者への対応について

上で述べたように、高ストレス者であってもその結果の開示・未開示は選択できます。また面接希望の有無もこれと別に選択できるため、起こりうるパターンとしては四つあります。ひとつは結果の開示に同意し、面接も希望するというパターンです。企業としても最も対応しやすいと思います。しかしその場合でも個人情報の扱いには十分注意し、慎重に産業医と日程の調整を行っていきましょう。
次は、開示に同意はしないが面接は希望するというパターンです。実は面接を希望していれば結果の開示に同意したとみなすことができます。しかし内部の人間に結果を知られたくないという意思を表しているかもしれません。そのため内部の人ではなく、ストレスチェックを実施する担当者から連絡をさせるなどの配慮をすると良いでしょう。
結果の開示に同意しているものの面接を希望しないパターンでは、本人とも話し合い、同意の意思を改めて確認した後、面接指導を促すことが重要です。
開示も面接の希望もしないパターンでは、経過を見守るしか対応ができません。しかし本人のためにも面接指導を受けることを勧めてみましょう。

産業医との面談でメンタルヘルスを未然防止

ストレスチェックをしても本人の意思がなければ面接指導ができず、問題解決に向けて対応が進められていない企業も多くあります。そこで少しでも状況を変えるためには産業医との連携も重要になってきます。
もともと一定規模以上の企業では産業医が設置されていますが、労働者の多くはこのことを知りません。産業医の存在を周知させ、上司などではなく専門知識を持った第三者との面談を促せば、メンタル不調を未然に防止できるかもしれません。
産業医はただ相談に乗るだけではなく、定期的に社内環境の調査も行い他の医師に比べて内部の状況を把握しています。職場環境の改善や、各労働者の環境改善に繋がりやすくなります。ストレス状態に問題が合った場合、企業側ができる対応として働き方を変えるということも考えてみましょう。常駐して働くのが厳しい状態であれば、スポット勤務などにも柔軟に対応することで労働者に深刻な問題が起こるのを防げるかもしれません。
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